車中泊スポット検索サービス「Carstay」NTTグループと連携し日光市で駐車スペースを提供開始
全国各地に点在する駐車場や空き地を車中泊・テント泊スポットとして旅行者に貸し出すシェアリングサービス『Carstay(カーステイ)』を手掛けるCarstay株式会社と、東日本電信電話株式会社(NTT東日本)、株式会社エヌ・ティ・ティ・ル・パルク(NTTル・パルク)の3社が、2019年10月29日より『Carstay』でNTT東日本通信ビルの駐車スペースを車中泊スポットとして提供を開始した。
Carstayは「MaaS(Mobility as a Service)」領域において、新しい旅と暮らし“VANLIFE(バンライフ)”をテーマに事業展開しているスタートアップだ。『Carstay』は2019年1月に本格稼働を開始し、日本語と英語に対応している。ウェブサイト上で車中泊・テント泊スポットとして登録された駐車場や空き地を検索~予約~決済が可能で、所有者と旅行者の評価を行うこともできるサービスだ。全国各地の駐車場や空き地を車中泊やテント泊スポットとして可視化し、一気通貫でシステム化させ、旅行者に有料で貸し出すシェアリングサービスは日本初である。
2019年6月にはキャンピングカー株式会社と業務提携し、車両のレンタルを開始した。『Carstay』ではこれまで車両のレンタルができなかったため、手配の問い合わせが多数あったという。業務提携により、既にキャンピンカーを保有する人だけでなく、キャンピングカー旅行に興味があるユーザーに向けて『Carstay』のメリットや“VANLIFE”の楽しさを提供でき、『Carstay』の利用者層の拡大を図るとしている。
今回の3社の取り組みは、観光客の急増に伴い昨今ニーズの拡大しつつある車中泊に関する社会課題解決が目的だ。近年、訪日外国人を含む観光客数が大きく増加するなか、観光地における宿泊施設不足が取り沙汰されており、各地域における観光消費額増加の妨げとなっている。また従来のホテル泊や民泊に加え、車中泊による新たな旅行形態に流行の兆しが見えるなか、道の駅等の休憩施設において、宿泊による駐車場スペースの長時間占有等が社会課題となっている。
こうした状況を受け、車中泊スポットとして駐車場や空き地を旅行者に貸し出すシェアリングサービスを展開するCarstay、各地域に存在するNTTグループの保有駐車スペースを管理しているNTTル・パルクと連携して、NTT東日本の保有駐車スペースを車中泊スポットとして提供開始することとなった。加えて、新たな旅行形態である車中泊ツーリストの観光動機、動線分析や車中泊スポットに求める環境データを収集し、観光促進による地域経済の活性化および車中泊に伴う社会課題の解決への貢献を目指すとしている。
取り組みの第一弾として開設した車中泊スポットは、栃木県日光市にあるNTT東日本の保有不動産「NTT今市ビル」(4台)と「NTT川治電話交換センター」(2台)の駐車場だ。取り組みの概要と各社の役割は以下である。
<Carstay>
・利用者と車中泊スペースのマッチングプラットフォームの提供
・周辺エリアの地域ならではの「文化体験」の紹介
・利用者のデータ収集
<NTT東日本>
・車中泊スペースの提供
・車中泊スペースにおけるICT環境の提供、保守、運用
・利用者のデータ収集と車中泊スポットの高品質化や地域連携に向けた分析
<NTTル・パルク>
・車中泊スペースの運営、管理
・空き土地の利活用
第一弾に日光市が車中泊スポットとして選ばれたのは、日光市とNTT東日本(栃木支店)が2019年8月26日に「強く・優しい・人が輝く日光」の実現に向けた連携協定を締結したことにある。協定の中で「キャンピングカー等を活用した宿泊の形を観光客に提供し、日光市各エリアの特徴を活かした新たな宿泊ニーズを誘引し、観光による経済の活性化」を目指している。
この度の取り組みについて、大嶋一生日光市長は次のように述べた。「日光市は、魅力ある観光資源を数多く有しており、訪れる方々に長期滞在することで、その魅力に触れて頂きたいと考えています。今回の取り組みは、NTT東日本との連携協定に基づき実施するもので、車中泊スペースの提供が、観光地の課題解決や過疎地域の魅力発信ひいては観光による経済活性化に繋がるものと思っております。この取り組みが成功し、日光市の観光施策に反映できることを大いに期待しています。」
日光市を皮切りに、順次他エリアへも車中泊スポットの拡大を検討しているという。あわせて、利用者の意向を踏まえた車中泊スポット環境の充実、高品質化による利用者満足度の向上に加え、地域の観光資源や周辺エリアと連携した新たな旅行体験や観光回遊の提供による地域活性化への貢献を目指し、車中泊ユーザの観光動線データ等の収集・分析を行うとしている。これらの活用により、観光地を抱える自治体や観光協会等と連携し、地域観光資源の開発、観光プロモーションの観点から地域活性化支援を推進していく考えだ。
『Carstay』に登録する駐車場や空き地の所有者は、車中泊・テント泊可能なスポットに加え、周辺施設や設備情報、地域ならではの「文化体験」も登録することができる。駐車場や空き地を有効活用したい所有者にも、車での旅を楽しみたい利用者にもメリットのあるサービスだ。
さらにCarstayは2019年10月下旬から、車中泊可能な“バン(VAN)”などの車を共用/シェアできる新サービス『バンシェア』を開始予定だ。同サービスの利用者は旅の企画、車の手配、体験・宿泊拠点の予約が一気通貫で体験可能になる。また共同使用契約になることから、利用者は従来のキャンピングカーをレンタルするよりも、比較的安価で利用することができるという。宿泊施設不足の解消をはじめ、地域の観光促進や経済活性化に繋がる取り組みを積極的に行う同社に今後も注目していきたい。
■「Carstay」公式サイトはこちら。
【参照記事】
車中泊をトリガーとした地域観光活性化に向けた Carstay、NTT東日本、NTTル・パルクの取り組みについて
・-日本初、全国の駐車場や空き地を車中泊・テント泊スポットに- 大手保険付きのシェアリングサービス「Carstay(カーステイ)」本格稼働
・Carstayとキャンピングカー(株)が業務提携。車両レンタルと車中泊スポットの検索・予約・決済を一気通貫で提供
・Carstay、国内初、キャンピングカー含む車中泊仕様のカーシェアサービス「バンシェア」開始
(HOTELIER 編集部)