川口市が民泊の営業可能日数を独自規制、6月の定例会に提出。
6月15日に全国で民泊が解禁されるのに合わせ、埼玉県川口市は、市内の住宅地域などで民泊の年間営業日数を制限する条例案を、6月に行われる市議会の定例会に提出する。騒音などによる住環境の悪化を阻止する狙いで、市は「市民が安心して生活できる環境が第一」としている。条例が制定されれば県内で初となる。
『住宅宿泊事業法(民泊新法)』では、都道府県・政令指定都市・中核市などが条例で定めた場合、一定の区域で民泊の年間営業日数の上限である180日を、さらに引き下げて制限できる。騒音などの悪影響が出ることを抑えるためで、東京23区をはじめ、全国で条例制定の動きが広がっている。
川口市が条例による規制に乗り出すのは、東京都と隣接する市内において民泊を営業する事業者が多いとみられ、民泊解禁後に外国人を中心とした観光客の流入が増加すると見込まれるからだ。
同市が提出する条例案では、JR川口駅・西川口駅・東川口駅・蕨駅・鳩ケ谷駅周辺の商業地域(市面積の2.3%)で、営業可能日数を180日とする。商業地域については、交通利便性の高さや住居・商業が混在していることから、地域活性化を図るために条例による制限はしないという。一方で、住宅地域をはじめとする市のほぼ全域で、営業可能日数を毎年7月16日~9月15日の62日間と制限した。この期間は、毎年8月に行われる「たたら祭り」や、2020年に開催する東京オリンピック・パラリンピックなど観光客が増える時期である。
同市の産業振興課が3月~4月に市のホームページ上で行ったアンケート(回答数44件)によると、市内の民泊による旅行者の増加について「不安を感じる」と答えたのは84%だった。加えて、市の独自規制を「必要と感じる」と答えたのは89%に上った。
条例の施行日は、民泊が解禁される6月15日としたい考えだ。また条例案では、施行後3年以内に条例の施行状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるとしている。奥ノ木信夫市長は、「宿泊するからにはその地の風俗や習慣に従ってほしい。事業者にもルールを正確に認識してもらいたい」と述べた。
【参照記事】
民泊日数、条例で制限へ…川口市
【参照サイト】
(仮称)川口市住宅宿泊事業を制限する区域及び期間を定める条例(案)
【コーポレートサイト】
・川口市
・川口市|産業振興課
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(HOTELIER 編集部)