事業承継アンケート調査、ホテル・旅館で承継意思のない理由の半数以上が「後継者不在」

日本に5つある政策金融機関の一つである日本政策金融公庫は、生活衛生関係営業の事業承継に関するアンケート調査を行った。本調査は2018年9月上旬に「生活衛生営業の景気動向等調査」(7~9月期)の特別調査として実施。調査対象は、「ホテル・旅館業」のほか、「飲食業」、「食肉・食鳥肉販売業」、「理容業」、「美容業」、「氷雪販売業」、「映画館」、「公共浴場業」、「クリーニング業」の9業種・3,290企業で、うちホテル・旅館業は175企業が回答した。

事業承継の意思がある企業割合は、全体の約4割を占めており、うち、ホテル・旅館が54.9%と最も高かった。50%超えはほかに食肉・食鳥肉販売業(51.0%)のみだった。しかし、後継者が決まっている企業割合は、クリーニング業が最も高く(75.8%)、事業承継の意思が最も高かったホテル・旅館の後継者が決まっている企業は、51.0%と約半数に留まった。このほか「後継者は未定だが、候補者はいる」が32.3%。「後継者は未定で、候補者もいない」が16.7%となった。

現在の経営者と後継者または後継候補者との関係は、ホテル・旅館で「子ども」が90.0%を占めた。このほか「子ども以外の親族」が3.8%、「親族以外の役員・従業員」が6.3%。「社外の第三者」はなかった。他業種も同様に、後継者が子どもである割合が最も高く、公衆浴場業に至っては95.3%を占めた。

事業承継の予定時期としては、ホテル・旅館は「1年以内~5年以内」が全体の4割超を占めており、約半数が事業承継の準備を進めているとのこと。一方、準備を進めていない半数については、「まだ自分で事業が続けられる」が69.6%。また「事業の先行きに不安がある」と答えたのが34.8%も占めたことは注目したい。

事業承継の意思がないホテル・旅館に対してその理由を聞くと、「後継者または後継候補者がいない」が55.0%と最も多かった。以下は「事業の先行きに不安がある」40.0%、「現在の業績が悪い」25.0%、「承継をするほどの価値を感じない」20.0%、「当初から自分の代でやめようと考えていた」15.0%、「後継候補者の心当たりはあるが、能力の面で不安がある」10.0%など。

「第三者から事業の承継をしたいと打診があった場合の意向」は、ホテル・旅館は「現時点では分からない」が59.1%と最も多く、「事業の承継はしたくない」が22.7%、「前向きに事業の承継を検討する」が13.6%、「事業の承継を検討してもよい」が4.5%と続いた。ただ、同設問の回答はサンプル数が少ない参考値としている。

インバウンド需要で宿泊施設の新規建設が進む一方、事業承継の意思があるにも関わらず、経営難や少子化などの理由から後継者が見つからず、止む無く大手企業によるM&Aや廃業せざるを得ない施設が日本各地で増えてきている。今後さらに訪日外国人が増加すると見込まれている中、多くのホテルや旅館が後継者を見つけて盤石な事業基盤を築き、宿泊・観光事業が盛り上がっていくことを期待したい。

【参照記事】
ホテル・旅館、後継者不在理由に約1割が「承継せず」 日本政策金融公庫調査
【参照サイト】
事業承継に関するアンケート調査結果

(HOTELIER編集部)


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