全国のホテル・旅館の倒産、11月は2018年最多の11件。負債総額は6ヶ月連続で10億超えに
信用調査会社の帝国データバンクによると、2018年11月のホテル・旅館経営業者の倒産(負債1千万円以上の法的整理)件数は11件、負債総額は28億500万円だった。件数は単月で同年最多を記録。年間の累計では12月を待たずに前年1年間の数字と並んだ。
負債総額は6ヶ月連続で10億円を超えており、1~11月の累計は、前年同期比5.3%増の356億500万円となった。
一方、東京商工リサーチが発表した2018年(1〜12月)における「宿泊業の倒産」によると、倒産件数は78件で、1999年以降の20年間で最少となった。負債が500億円を下回るのは2年ぶりであり、過去20年間では2016年(431億6,000万円)に次いで3番目に低い水準となった。
倒産原因は、「販売不振」が43件(前年比12.2%減)、形態別では「破産」が46件(同13.2%減)で、ともに過半数を占めた。資本金別では資本金1000万円以上5000万円未満が36件、従業員別では5人未満が39件と最多となったが、前年比では23.5%減となった。地区別では中部が同42.1%減となったものの、27件で2年連続最多。関東は14件から16件、東北も8件から11件に増加した。
今後の見通しとして東京商工リサーチは、「宿泊業は訪日外国人数の増加を背景に、活況に沸く地域がある一方、恩恵に与れない地域も少なくない。また大企業に対し、新規投資が難しい小規模事業者との業績二極化の動きも拡大している。倒産は底打ち傾向をみせるが、今後も地方の小・零細事業者の淘汰が倒産を押し上げる可能性が高い」と分析している。
インバウンド需要が高まり、観光・宿泊業は業界全体で盛り上がりを見せているものの、その多くは都市部や観光地といった限られたエリアに偏っているのが現状だ。他国では味わえない日本ならではの文化や歴史、景観美、食文化などは日本全国それぞれの地域で楽しむことができる。政府が観光立国を掲げている今、都市部だけでなく様々なエリアに訪日外国人が足を運ぶ機会をつくり、大きな経済効果を生み出すことを期待したい。
【参考記事】
・11月のホテル旅館倒産、件数は18年最多に 累計で前年と並ぶ
・2018年宿泊業の倒産は78件、負債総額は2年ぶりに前年下回る、中小零細淘汰の予測も ー東京商工リサーチ
(HOTELIER編集部)