銀座の洗練されたホテル「THE PRIME POD 銀座東京」。高い評価を得るPODブランドの実態に迫る
東京・銀座の一等地にかまえる宿泊施設「THE PRIME POD 銀座東京」。窓からは銀座の象徴となる和光デパートの時計台、そして日本文化の象徴ともいえる歌舞伎座が見えます。そんな好立地な環境ににそびえ立つ宿泊施設を運営している、ホテル支配人の石川 数正氏にお話を伺ってきました。
「THE PRIME POD 銀座東京」の概要
「THE PRIME POD 銀座東京」のコンセプトを教えてください。
〝都市の滞在をスタイリッシュにデザイン。寛ぐ体に愉しみの余韻を残す。
PODを拠点に、自らの感性で好奇心を刺激し、都市・文化を謳歌する〟
「THE PRIME POD 銀座東京」では、〝融合〟というテーマを掲げています。カフェバーとホテルの融合があってもいいではないかと、施設にもその要素を取り入れています。
内装は、ウッド調にし柔らかい印象に。光沢のあるクリア素材は使わず、懐かしながらも新しさのあるデザインを意識しています。内装デザインを手がけたのは、今話題のデザイナー「SUPPOSE DESIGN OFFICE Co.,Ltd. 谷尻 誠氏・吉田 愛氏 」。これまで手がけた住宅は100件を超え、JCDアワードや住まいの環境デザイン・アワードなどで数々の受賞歴を持っています。
〝POD〟というブランドを掲げ、簡易宿泊所と思わせないクオリティの高い施設を意識しています。PODには「まゆ」や「さや」といった意味があるんですが、宿泊に必要なミニマルな機械を備え、コンパクトながらも「まゆ」の中にいるような、安心感・充足感を感じられる新型ホテルにしました。
「THE PRIME POD 銀座東京」について教えてください。
「THE PRIME POD 銀座東京」は、歌舞伎座の目の前に位置する「デュープレックス銀座タワー5/13」の11階から13階にあります。オープンは2016年10月1日。まだ開業してから1年の新しい施設です。
11階を女性専用フロア、12・13階は男性専用フロアになっており、寝床は落ち着いたくつろげる環境を意識したカプセル個室としています。床数は、男性61ユニット、女性43ユニットの104ユニット。98室が2段式の「スタンダードポッド」で、11階と12階の窓に面した男女各3室が、個室となっています。
各寝床には、USB電源とAC電源を各1つあり、スマホなどを充電したまま収納できるセキュリティボックスが設置されているので、安心した滞在を望むことができると思います。
人気の部屋と稼働率について
どちらのタイプの部屋が人気ですか?
男性・女性それぞれのフロアの奥にある、窓付きの個室が人気です。ホステル形態で窓があるというのは大変めずらしく、「THE PRIME POD 銀座東京」の個室(一部除く)からは、銀座の象徴である和光デパートの時計台や歌舞伎座を見下ろすことができ、歌舞伎座の屋上庭園も鑑賞することができるんです。
あるご婦人はこちらの部屋を大変気に入られていて、歌舞伎を観劇した後は毎回こちらの部屋に泊まられます。大好きな歌舞伎を観た後に、夜の歌舞伎座を鑑賞というのが至福の時間なのだとか。個室は、繁忙期でも1万円前後で宿泊できるので、リーズナブルです。
宿泊はミニマムでも、機能性を高く設定し、カプセルでもビジネスでもない洗練された空間が「THE PRIME POD 銀座東京」には広がります。
稼働率と宿泊料金設定について教えてください。
金曜、土曜は約90%、オンシーズン(トップシーズン)は稼働率は90%超えと高い稼働率となっています。日曜から月曜は平均70%ほど。6月、1月のオフシーズンでも80%は下らないです。1年を通して稼働率が80%は割らないように、細かい配慮やお客様が楽しく快適に過ごしていただけるような施策をとっています。
価格は、2段式の寝床「スタンダードポッド」で、3,500円〜5,800円(税込)程度。特需時は、10,000円弱になることもあります。日から月は、ミニマム3,500円、金・土・祝前日は5,000円、4月、11月の繁忙期は5,000円〜7,000円など、市況を伺いながら値段の設定を行なっています。
※金額は2017年10月時点となります。
宿泊ターゲットやインバウンドについて
宿泊者のターゲット、実際の宿泊者について教えてください。
宿泊ターゲットは外国の方です。特に欧米系の方の利用率が多く、男性約60%、女性約40%と客室の割合と同じとなっています。外国の方優先で、先行予約もできるようにしています。年齢は、20代から50代の方と幅広い年代の方が多いです。みんな紳士で上品なお客様が多いですね。
近年ホテルの開業がかなり増えていますが、銀座エリアも盛んで、1年ごとに約2,000室と、多くの宿泊施設がオープンしていますね。まだまだ増加傾向にあります。
インバウンド(訪日外国人観光客)のお客様が多いですか?
銀座エリアは昨今アジア系が多いですが、「THE PRIME POD 銀座東京」はアメリカ、イギリスなどの欧米系の方が多いです。これは、世界最大の宿泊予約サイト「Booking.com」のレビューが高得点が起因しているのか、アワードでも取り上げられていることにプラス、海外の旅行ガイドブック「ロンリープラネット」に掲載をいただいているのも影響していると思います。
さらに、Booking.comさんから「おすすめホテル」としてコメントもいただいており、2016年10月の開業から僅かな期間にも関わらず、8.9点という高評価を獲得しています。そのためもあり、海外のお客様に関しましては、4割がBooking.comから予約の方となります。
ホテルスタッフの役割について
ホテル内のスタッフの配置や役割について教えてください。
ホテルのスタッフは、15名(パート含む)体制をとっています。アイドルタイム以外、チェックインからチェックアウトは3名体制です。通常はフロントにおり、2人がフロント業務へ、1人がラウンジを担当できるようにしています。安心・快適を念頭に、各フロアにインターホンを設置しており、何かあれば即スタッフが行けるようにしています。
スタッフは、元航空会社のCAの者もおり、お客様が居やすい空間を考え、街自体のコンシェルジュであれるよう徹底したおもてなしを心がけています。また、訪日外国人のお客様が多いので、みんな英語が話せることは前提としております。
「THE PRIME POD 銀座東京」の強みは〝洗練されたラウンジ〟
「THE PRIME POD 銀座東京」の強みやこだわりを教えてください。
強みはラウンジですね。フロントのある13階にあるんですが、夜がおすすめです。ジャズが流れる店内で、歌舞伎座のライトアップなど銀座の街の夜景を見ながら、クラフトビールや日本酒をリーズナブルに楽しむことができます。しかもリーズナブルに。もちろん、眺望は無料です。
ビールは、缶ビールではなくスタイリッシュに飲めるよう、小瓶のビールを揃えています。欧州系の人は、そのまま小瓶のまま飲むのでそちらを参考にして瓶タイプとしました。
また、日本の伝統文化を伝えるために、日本酒は飲みきりサイズの小瓶を用意しています。ワンカップと同じ180mlサイズで、こちらもおしゃれなレトロラベルを採用しています。小売もあまりされておらず、製造当時のものと珍しいものなんです。しかも、熱燗にしてもラベルが外れないようになっているんです。種類は常時7つほど。外国の人に楽しんでもらえるよう、日本酒専用の卓上のお燗器具もありますよ。
ちなみにコーラやジュースも瓶タイプにしています。昔懐かしいHI-Cなども用意しています。銀座の真ん中にありながら、カジュアルにみんなに楽しんでもらえるようなおもてなしを心がけています。
またラウンジでは、朝食としてオリジナルホットドッグとコーヒーの提供をしています。銀座の朝の風景もまた良いですよ。
やはり、洗練された空間と銀座の街並み、夜景を鑑賞できる環境が功を奏しているのでしょうか。銀座の一等地としては、価格もリーズナブルに設定しているので、宿泊者の方は観光から帰って来たら、是非このラウンジでゆったり過ごしてほしいですね。
通常、ホテルの飲食の使用率は20%を取れればいいが、「THE PRIME POD 銀座東京」のラウンジの使用率は、宿泊者の50%と高い割合を誇っているという。
他に、強みやこだわりはありますか?
外国人のお客様が多いので、日本の文化に少しでも触れていただくよう、スタッフの制服にスカーフではなく手ぬぐいを使用しています。
日本ならではの「和」の雰囲気を出し、思わず宿泊者がシェアしたくなる〝おもてなし心〟を写真におさめていただき、最近流行りのinstagramでシェアも多くしていただいています。
セキュリティ面でのこだわりはありますか?
ミニマムでも快適で安心な環境を提供できるよう、個室とカプセルの寝床に、セキュリティボックスを設けております。お部屋に鍵がない分、そういったところにこだわり、お客様に少してもリラックスしていただければと思っています。ホステルでもなかなかないと思いますね。ベッドは、疲れが癒されるよう全米の5年連続売上No.1のドリームベッド社製「Serta(サーター)」を使用。電源もあるので、寝ながら音楽や動画も楽しめますよ。
あとは、外国人のお客様が多いので、90リットルサイズのスーツケースを全員が持ち込んでも収まるサイズの荷物置き場を女性フロア、男性フロアのそれぞれエレベーターを降りたところに設けています。チェーンロックもできるので、盗難の心配は気をつけていればないかと思います。
ちなみに、エレベーターは11階のフロントに来ていただき、専用のエレベーターに乗り換えて各フロアへ上がるスタイルをとっています。宿泊者しか上がれないようになっており、さらに寝床のあるフロアへもキーをかざさないと入れないようになっています。
最後に・・・
経営はオリックスグループが行っているとのことですが、「THE PRIME POD 銀座東京」はどういう経緯で誕生しましたか?
エリアの活性化をということでホテル運営に至りました。商業施設の有効利用という目的もあります。本施設の前は飲食店で、やはりこの景観を損なわないように、ラウンジの窓に面している席は飲食店からあったものをそのまま活用しております。
最後に、今後の「THE PRIME POD 銀座東京」について教えてください。
今後もラウンジや施設内をより洗練させ、随所にこだわりを散りばめることで高い稼働率の宿泊施設として、そしてお客様が「また来たいな」と思えるような施設となっていければと考えます。
銀座駅から徒歩5分、東銀座駅から徒歩5分という好アクセスの「THE PRIME POD 銀座東京」。京都にも同じ系列店がありますが、土地柄もあり和の雰囲気が広がります。80%超えの高稼働を誇るTHE PRIME POD。今後の展開も目が離せませんね!
(HOTELIER編集部)