フリープラスが外国人人材の有料職業紹介事業を開始、外国人の就職活動もサポート
訪日旅行事業を展開する株式会社フリープラスは2019年11月21日、関係当局の許可等を得て、ホテル・飲食店等向けに外国人人材の有料職業紹介事業を開始したことを発表した。
同社は2010年に訪日旅行事業に参入し、40カ国・約1,000社以上の取引先から50万人以上の訪日客を受け入れてきた。2017年にはインバウンド特化型ホテル『FP HOTELS』の運営を開始し、現在、大阪に2棟、福岡に1棟のホテルを運営している。オリンピックが行われる2020年7月には、新ホテル「FP HOTELS 札幌大通り」を開業予定だ。
2010年よりインバウンドに特化した事業を展開してきたことにより、現在までに東南アジアを中心に23カ国、延べ400名以上の外国籍スタッフを採用・育成してきた。特に『FP HOTELS』においては、アルバイトスタッフ(常時約150名)のうち、90%以上が外国籍かつ留学生であり、将来的に日本語を活かし、日本と母国を繋ぐことのできる就職先を求めてトレーニングを積んでいる。
訪日外国人観光客の増加に伴いサービス事業において人材不足が叫ばれている中、同社は「外国人人材を日本企業で活躍できるまでに育て上げ、彼らの就職活動をサポートするとともに、外国人人材を求めるホテル・ 飲食店等に向けて人材紹介を行って参ります」と述べている。
フリープラスは外国人材に特化したノウハウを持ち、外国籍スタッフの採用・育成の実績がある。同社の新たな職業紹介事業が、外国人・企業の双方に良い影響を与え、宿泊施設などサービス業の人手不足解消に繋がることを期待したい。
一般社団法人日本ワーキング・ホリデー協会が2019年3月に発表した『外国人と企業の労働観調査』によると、過去に外国人を雇用したことのある企業の約9割が再度外国人の雇用を検討しており、その理由として「日本語以外の言語を話せる人材の確保」が最も多かった。また、日本での就労を検討している外国人に「日本でどんな仕事がしたいですか?」と質問したところ、1位飲食店、2位語学教師、3位ホテル業となり、英語や母国語を活かせる業種が人気であることがうかがえる。
近年の外国人観光客の増加と人手不足を背景に、多くの企業が外国人材の採用や就労支援を進めている。2018年11月には株式会社JTB商事とゴーウェル株式会社が業務提携し、「外国人材の紹介」を強化していくことが分かった。2019年4月には、株式会社JTBコミュニケーションデザインと株式会社ワールドスタッフィングが共同出資し、ホテル業界に特化した総合人材サービス会社「株式会社JWソリューション」を設立した。両社のノウハウを融合し、外国人材を含めた専門人材によるホスピタリティの高いサービスを提供する考えだ。株式会社groovesと株式会社JTBも4月に資本業務提携を締結し、宿泊施設への高度外国人材の採用支援などの取り組みを始めている。
9月には、株式会社YOLO JAPANが日本初の就労インバウンドトレーニング施設『YOLO BASE』を大阪市新今宮に開設した。この施設では、就労トレーニングを実施し特定技能資格の取得などをサポートするほか、特定技能資格に基づく外国人労働者の生活全般のサポートも行う。さらにホテルが併設しており、同社が手掛ける外国人求人サイトで採用された外国人スタッフが働いている。
前述した『外国人と企業の労働観調査』のように、外国人材を必要とする企業のニーズと日本で働きたい外国人が活かしたいスキルが一致している一方で、外国人材活用における課題もある。
日本国際観光学会は、2019年3月に発表した『ホテル産業における外国人材の活用状況と課題』の中で、外国人材の雇用における課題として「言葉の壁」と「働き方や仕事に対する考え方の違い」を挙げている。言葉の壁については「(日本語能力)検定資格を保有しているからといって必ずしも会話やコミュニケーションが十分にとれるというわけではなく、日本人同士なら言うまでもないことであっても常識ではない、といった文化的違いとも相俟って、ミスコミュニケーションの原因となっている」と述べている。
働き方や仕事に対する考え方の違いについては「就職時に雇用者と交わす労働契約において、定められた職務内容(ジョブ・ディスクリプション)を超えて業務をするということに対して、抵抗を示す外国人労働者も多い」としながらも、「国籍による差異というよりも、客のためならば決められた範囲外のサービスも厭わない日本人の「おもてなし」精神のほうが特殊であるように思われる」としている。外国人材の就労支援や採用には、こうした課題を念頭に置くことも重要と言えるだろう。
【参照記事】
・訪日(インバウンド)旅行事業を展開するFREEPLUSが外国人採用実績やノウハウを生かし ホテル, 飲食店等向けに外国人人材の有料職業紹介事業を開始
・2020年夏、札幌にインバウンド向け宿泊特化型ホテル「 FP HOTELS 」を開業予定
【参照サイト】
日本国際観光学会|ホテル産業における外国人材の活用状況と課題
(HOTELIER 編集部)