北海道稚内市の「稚内サンホテル」が自己破産申請、負債総額は5億3000万円
東京商工リサーチ(TSR)によると、北海道・稚内で「稚内サンホテル」を運営していた株式会社稚内サンホテルは2018年11月14日、旭川地方裁判所に破産を申請した。負債総額は約5億3000万円。
同社は1974年2月に創業し78年に会社設立。地元有志の出資を得て、JR稚内駅および稚内フェリーターミナルに最も近い場所に開業した。立地条件の良さと450名を収容できる大宴会場を有していたこともあり、1992年2月期には、7億2293万円の売上高を計上していた。
しかしその後は、駅周辺に大手ホテルが進出したことで競合が激化。一時期は「雪が降り積もる中で現れた珍客(シカ)の宿泊をお断りした」とSNSでも話題となったが、景気低迷による個人消費の落ち込みや、レジャーの多様化の影響により客足が減少。2018年2月期の売上高は約1億8000万円にまで低下した。
これにより過去の設備投資による借入金が資金繰りを逼迫したことに加え、今年9月に発生した北海道胆振東部地震の影響で、団体客を中心に宿泊のキャンセルが相次いだことから、事業継続は困難と判断し今回の措置に至った。
稚内駅周辺は現在、ドーミーイン稚内やANAクラウンプラザホテル稚内、稚内グランドホテルといったホテルチェーンが進出している。競合がひしめく中で生き残っていくには、宿泊者が快適に過ごせる環境づくりはもちろん、他社にない独自のサービスやおもてなしが集客の鍵となる。
近年、北海道内ではホテルの建設ラッシュが続いているが、新規参入ホテルでは提供できないようなサービスを既存ホテルは武器にし、今後も共存していって欲しい。
【参考記事】
北海道の稚内サンホテルが破産申請、負債5.3億円
(HOTELIER編集部)