国交省、五輪見据え宿泊施設のバリアフリー新指針。段差なし、字幕対応テレビ導入など
国交省は、ホテルや旅館など宿泊施設のバリアフリー推進に向け、全客室を対象にした設計指針を改定した。2020年の東京五輪・パラリンピックを控え、運営側に新築や増改築時の参考にしてもらう意図がある。
バリアフリー法に基づく国の基準では、客室が50室以上ある宿泊施設は車いす用客室を1室以上設けることが義務付けられているが、専用客室は車いすが転回するスペースが必要なため一般客室の約1.4倍の広さが必要だ。運営者側にとっては、一般客室数を一定程度確保しながら、車いす用客室を数多く設置するのが難しいケースもあったという。
車いす利用者からも、専用客室に空きがなかった場合に「スペースが限られた一般客室は利用しづらい」との訴えもあり、国交省は今回の改定で、車いすで室内を移動しやすくするため部屋の通路幅は1メートル以上、転回用スペースの設置、部屋や浴室・トイレでは段差を排除し幅80センチ以上を確保することなど、一般客室でも一定のバリアフリーに対応できるよう指針を打ち出した。また、視覚障害者向けには部屋の番号を浮き彫りにすることや、聴覚障害者のためテレビは字幕放送に対応した機種を導入することも求めている。
新指針は2017年度以降に新築、増改築したりする宿泊施設が対象。同省建築指導課は「客室のバリアフリー化を進め、多くの人が快適に利用できる宿泊環境の整備を促したい」と話しているという。
現在バリアフリー対応の部屋を完備するホテルは、全国でも多くあるが部屋数が少ないのが現状だ。また、施設全体がバリアフリーに配慮した作りとなっているホテルはまだまだ少ない。2020年の東京五輪へ向けて、ホテル開業が相次ぐが、バリアフリーの新指針により宿泊事業者への変化に期待が高まる。
【参照】
宿泊全室、バリアフリーに 国交省、東京五輪見据え新指針
(HOTELIER編集部)