日本のミレニアル世代の3人に1人は“自己啓発”が目的、新しい旅行スタイルが明らかに Hotels.com調べ
Hotels.comは2020年3月2日、ミレニアル世代の旅行を調査した新たなグローバル年次レポート『ジェネレーション・トラベル』を発表した。
この調査はOne Poll社によって2019年11月25日から12月12日に実施され、世界7,800名の今までに旅行に行ったことがある人(うち日本人回答者は300名)が回答した。なお、本調査は18歳以上を対象とし、リリース内では18歳から34歳のミレニアル世代を対象に分析している。調査から、ミレニアル世代は太陽の恵みや海、オールインクルーシブといったバカンスよりも、自分磨きができる旅行を好む「自分磨きに熱心なタイプ」が多いことが分かった。これは、今まであまり見られなかった新しい旅行のスタイルである。
旅行に自分磨きを期待するミレニアル世代は世界で78%、日本では75%で、精神的または身体的豊かさを実現することのほか、視野を広め新たなスキル習得を求めて旅行に出かけると分かった。また日本において、ミレニアル世代のおよそ3人に1人(32%)にとって自己啓発が主な旅行の目的であり、およそ5人に1人(18%)が何か好奇心をくすぐるものを見つけたときに自分磨きの旅行を予約すると回答している。
Hotels.comはこの結果について「自分磨きへの欲求はれっきとしたビジネスとしても成り立ちます」と述べている。精神面・身体面・感情面でプラスになりそうな旅行であれば、58%が「予算を増やす」と回答しているほか、83%は「自己啓発旅行のために予算を最大50%引き上げる」と回答し、自分磨きにお金をいとわない姿勢が見受けられる。
さらに、自己啓発の旅のために「インターネット」(28%)、「テレビ」(23%)、「SNS」(22%)を止めても構わないと回答している。世界全体でみると、そのような旅の実現と引き換えに「お酒」(42%)、「ジャンクフード」(40%)、「SNS」(39%)と決別する決意があるということが分かった。パーセンテージの高さから、世界のミレニアル世代は日本に比べて、自己啓発の旅を真剣に考えていることがうかがえる。
「自分磨きに熱心なタイプ」のモチベーションとは?
日本のミレニアル世代の75%は、自分自身の何かしらを改善したいと考えていることが分かった。そのうちのおよそ3人に1人は、自分磨きの旅行へ出る理由として「自分を成長させるため」(34%)と回答している。このほか「メンタルヘルスの維持または改善」(33%)、「健康維持」(27%)、「モチベーション維持」(25%)が挙がった。
2020年の目標について聞いてみると、日本のミレニアル世代は「恋が成就」(16%)するよりも「収入アップ」(54%)、「スタイルアップ」(45%)、「新たなスキル習得」(39%)を希望しているようだ。さらに旅行から戻ったとき、「旅先でのロマンス」(13%)よりも、「異文化の発見」(37%)や「充実した体験」(22%)について周りに話すと回答している。
また、日本の「自分磨きに熱心なタイプ」の旅行者は、自己啓発の旅に「友人」(28%)や「パートナー」(24%)に同行してほしいと考えている。一方で、家族である「両親」(12%)や「兄弟」(1%)と一緒に行くよりは、「1人」(24%)を選ぶ傾向があることも分かった。
グローバルの結果では「パートナー」(40%)を同行者として選ぶ傾向が最も高く、続いて「友人」(23%)、「1人旅」(13%)を好むようだ。
自分磨きによる効果
自己啓発の旅行体験者によると、いつもと異なる旅行体験をすることで大きなメリットがあったと感じているようだ。自己啓発の旅行に行ったことのある「自分磨きに熱心なタイプ」の44%が、自己啓発の旅を通して「新しい発見があった」と回答しているほか、39%が「本当にリラックスする方法を習得できた」と考えている。
さらに興味深いことに、3人に1人が「心を落ち着かせる方法を学んだ」(33%)、「優しくなれた」(32%)と感じている。加えて、83%が「自己啓発旅行から帰った後に日常的な習慣を見直した」と回答していることから、この新しい旅行スタイルは今後の生活にも良い効果が出ているようだ。また、45%が「新たな趣味を始めた」ほか、38%は「運動量を増やし」、33%が「生活習慣を変えた」ということも分かった。
「自分磨きに熱心なタイプ」のウィッシュリスト
日本のミレニアル世代の79%が「旅行中に新たなスキル習得またはスキルアップをしたい」と回答した。一方で、ミレニアル世代の新しい旅行体験への強い興味・関心は、型にはまらない休暇スタイルを流行させるきっかけとなるかもしれないという。旅行で習得したいスキルのトップ5(日本)は、「料理の達人になること(料理)」(39%)、「外国語習得」(35%)、「(インスタだけじゃない)写真」(33%)がランキング上位を占めた。
一方で、「自分磨きに熱心なタイプ」の旅行者はさらにユニークな体験も求めているようだ。例えば、日本の若い世代の旅行者は水の癒し効果に着目し、血流や循環、代謝アップにつながるとされている温泉・鉱泉浴に浸かる「温泉療法」(47%)を選んだ。また、森と向き合うという「森林浴」(41%)がさらに自然志向のアクティビティとして試してみたいランキングに入ったほか、「ワイルドスイミング(湖や池などの天然プールで水泳)」(21%)、「マインドフル・セクシュアリティ・リトリート(心と身体を整え自己愛を深める体験)」(17%)、「アニマルセラピー(動物介在療法)」(17%)がランクインした。
人気の自己啓発の旅スタイルと旅行先
自己改善のための旅行先トップ5を日本・アジア・グローバルに対象を分けて分析したところ、ミレニアル世代から最も選ばれた旅行先はいずれも日本だった(スコアは順に17%、19%、12%)。日本のミレニアル世代は、日本以外の旅行先として「アメリカ」(12%)、「オーストラリア」(10%)、「フランス」(9%)、「ニュージーランド」(5%)と非アジア圏を選ぶ傾向が明らかになった。
メンタルヘルス&ウェルネス休暇で体験したいことトップ5では「温泉・温泉療法」が1位となり、全世界において温泉は自分を高め、リラックスできる休暇中の体験としてかなり人気の高いことが分かった(日本:38%、アジア:41%、グローバル:31%)。Hotels.comは「日本は、温泉の種類の豊富さと評判の良さから、この関心の高さに見合った絶好のポジションにいるといえるでしょう」と述べている。
日本の若い世代が求める体験に注目すると、温泉や森林浴、ワイルドスイミング、アニマルセラピーといった自然や動物に触れることが挙がっている。モノを得るよりも、コトで自分磨きや癒しを体験したいことがうかがえる。また、この度の調査でミレニアル世代は「自分磨きにお金をいとわない」という姿勢が見られたが、ミレニアル世代よりさらに若年層の“尽くし世代/Z世代”(16歳~24歳)でも同じことが言える。
Booking.comの調査によると、尽くし世代/Z世代は、物を購入するより体験にお金を使う傾向にあるという。世界の60%、日本の45%は「旅行はいつでもお金をかける価値がある」と回答した。出費先として「旅をして世界を見ること」が最も重要だと回答した人は、世界で65%、日本で46%に上った。こうした調査からも、コト消費の高まりは若年層にもあると言えるだろう。宿泊施設は、自然に触れる体験や自己啓発に繋がるプランを提供することで、若年層の獲得に繋がりそうだ。
【参照記事】
・Hotels.com、新たな旅のトレンドである自己啓発を進んで旅に取り入れる「自分磨きに熱心なタイプ」を明らかに
・広い世界を存分に体験したい”尽くし世代”にフォーカス!旅行計画と人生における興味関心との関連性を徹底調査!
(HOTELIER 編集部)