「禅」と「ミニマリズム」が融合した茶室がモチーフのホテル『hotel zen tokyo』、4月上旬に開業
株式会社SENは、「泊まれる茶室」をコンセプトとしたホテル『hotel zen tokyo(ホテル・ゼン・トーキョー)』を2019年4月上旬に日本橋人形町に開業する。同ホテルは、無駄を削ぎ落としていくという「禅」の思想と、近年流行する「ミニマルな生活」をかけ合わせた、次世代型のカプセルホテルだ。オープンに先立ち、メディア関係者向けのオープニングイベントおよび内覧会が2月25日に開催された。
同ホテルは、料亭だった建物をリノベーションして作られた地上5階建て・地下2階建てのホテルだ。かつて茶人たちが理想の茶室空間とした「市中の山居」を目指し、都会の喧騒の中に、まるで山奥のような異空間を設えたという。
宿泊ターゲットは、東京オリンピック・パラリンピックに向け増加している外国人観光客がメイン。同社の調査によると、訪日外国人の69.7%が「旅館や和室の空間に泊まりたい」という思考があることから、同ホテルのコンセプトが作られたという。
ホテルは「人形町駅」から徒歩30秒、「水天宮前駅」から徒歩5分に位置。人形町駅は、羽田空港・成田空港へ電車一本でアクセスでき、水天宮駅からは両空港行きのバスも運行している。さらに両駅は日比谷線・浅草線・半蔵門線が利用できることから、銀座や東京、浅草、渋谷といったターミナル駅へのアクセスにも優れており、インバウンドだけでなくビジネスにも便利な立地といえる。
地上1~5階に広がる客室は、千利休が16世紀後半に生み出した茶室の傑作「待庵」を、21世紀型に再解釈した和モダン空間。客室様式は5種類・全78室を展開し、女性専用フロアも用意している。各カプセルユニットの入り口は、本来の茶室に用いられる「躙口(にじりぐち)」のエッセンスを採用。床の間には、東京藝術大学が特許を持つ「クローン技術」を用いて描かれた、日本人アーティスト4名によるアート作品が飾られている。宿泊料金は6000円~。
地下1階には、宿泊者以外でも利用できるバー・ラウンジ「TAIAN」を併設。メニューは「Restaurant TOYO 東京ミッドタウン日比谷店」の総支配人兼シェフソムリエの成澤亨太氏が監修し、様々なドリンク・フードを提供する予定だ。またバー・ラウンジ正面には、妙喜庵(待庵)と同サイズの鉄の茶室のオブジェを設置。食事を楽しみながら、禅の空間のエッセンスが感じられるようになっている。
さらに地下2階には、カプセルホテルには珍しいグローエのシャワーヘッドを採用した男女別のシャワールームや、ワーキングスペースも用意している。
オープニングイベントでは、SOMA DESIGNクリエイティブディレクター・デザイナーである廣川玉枝氏がデザインを手がける、ホテルのオリジナル・ルームウェアも披露された。着物にインスパイアされたシルエットで、自然の風景を身に纏い、禅の心を引き寄せるデザインとなっている。
『hotel zen tokyo』のオープンを皮切りに今後同社では、京都や札幌、広島などの国内だけでなく、ニューヨークやロンドン、シンガポールなど世界の都市への展開も視野に入れており、10年で50店舗を目指していくという。
無駄を削ぎ落としていく「禅」の思想と、日本のポップカルチャーとして海外で注目を集める「カプセルホテル」が融合した同ホテルが、新たな日本のカルチャーとして世界的なブランドへと成長していくことを期待したい。
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(HOTELIER編集部)