トランプ氏手がける、米高級ホテルチェーン「トランプ・ホテル・コレクション」北京へ進出
米大統領選の共和党候補ドナルド・トランプ(Donald Trump)氏は、2011年の著書「Time to Get Tough」で中国の指導者らを「われわれの敵」と呼ぶなど、これまで激しい中国非難を繰り広げてきた。「ゆがんだ貿易政策と為替操作によって米国から数百万人分の雇用を奪った」と選挙運動で繰り返す姿は記憶に新しい。
一方で、著書「Time to Get Tough」出版のわずか2年後、トランプ氏が手がける米高級ホテルチェーン「トランプ・ホテル・コレクション(以下THC)」は、当時中国共産党の中央候補委員でもあった劉振亜(Liu Zhenya)氏が会長を務めていた中国国有送電大手、国家電網(State Grid Corporation of China)と、北京での大規模開発の管理やブランド展開について交渉を開始していた。AFP通信の取材によると、当時THCの大中華圏事務所の責任者だったロビー・キュー(Robby Qiu)氏は、この交渉は15年間で1億ドル(約104億円)~1億5000万ドル(約156億円)が見込まれる取引の覚書の締結を導いたと説明しており、別の匿名関係筋も両者の交渉を認めている。
THCは「トランプ・ホテルズ(Trump Hotels)」から名称変更後、高級ホテルの管理に加え、パナマ、アゼルバイジャン、インドネシアなどにあるトランプブランドのホテルや住宅、ゴルフ場のライセンス供与やマネジメント契約を行ってきた。
トランプ氏の企業が現在中国でどのような活動をしているのかは不明だが、トランプ氏は自身が関わる事業は米国以外で121件あり、中国での事業も「多数」含まれると語っているという。
たびたび批判を浴びる、トランプ氏の中国に対するダブルスタンダード(二重基準)。国外での取引に起因する利害対立にも疑問が呈されているようだ。
【参照】
トランプ氏、中国国有大手と巨額事業 北京で不動産開発
(HOTELS.Biz 編集部)