白馬の観光協会「民泊認めない」と要望。軽井沢は民泊禁止
住宅宿泊事業法(民泊新法)が来春にも施行される見込みだが、北安曇郡白馬村の観光協会では民泊を認めないよう村に求めている。外国人観光客の宿泊者数は急増しているものの、2016年の日本人を含む観光客総数は205万人と、20年前の373万人から大幅に落ち込んでいるという事情がある。旅館やペンションなど家族経営の施設は廃業が相次ぐ一方、外国人が廃業施設を買い取り、観光客を受け入れている例も増えているという。高齢になった経営者の事業継承や外国人の受け入れ態勢などが差し迫った課題だ。
白馬村新田、切久保の両地区には、68軒の宿泊施設がある。これらが加わる白馬岩岳観光協会によると、客室稼働率は平均15〜20%ほど。観光協会の吉沢勇会長は「外国人観光客の受け入れ先として民泊が必要というのは大都市の事情だ。民泊よりも現状の施設の活用を考えていきたい」と言う。
長野県大町保健福祉事務所が今年3月、民泊仲介サイト「エアビーアンドビー」に掲載された大北地方の施設を調べたところ、150軒のうち141軒は旅館業法の許可施設で問題がなかったが、8軒は無許可施設だった(1軒は所在地不明)。無許可施設には、外国人が制度をよく理解せず民泊を営んでいる例があるとみている。
こうした状況に、村内のスキー場エリアごとにある八方尾根、白馬五竜、白馬岩岳、白馬さのさかの4観光協会は、民泊参入のハードルを下げる住宅宿泊事業法に関する陳情を村議会6月定例会に提出。取り締まりができていない現状を踏まえ、民泊が広く導入されれば「村の多くの住民が携わる宿泊施設の存続を脅かしかねない」と訴えた。
村には、旅館業法の営業許可を受けていない施設を認めないよう意思表示する独自条例を制定することと、違法施設への取り締まり強化を求めた。陳情は「調査が必要」(産業経済委員会)と継続審査になっている。
一方、軽井沢旅館組合では15年末、民泊を認めないよう町に働き掛けた。昨年3月軽井沢町は、貸別荘(1ヶ月以上の契約で賃貸する一戸建て)を除き、民泊施設を認めないとした基準が町自然保護対策要綱に盛り込まれた。基本的に罰則はないが、軽井沢旅館組合の小峰弘敬会長は「既存の宿泊施設がさらに質を上げていく努力が不可欠だ」と話した。
インバウンド需要も増える中、両エリア共に、観光地としての側面からも地域の訴求をし、既存の宿泊施設の運営が盛り上がることを期待する。
【参照記事】
白馬の観光協会 「民泊」新法控え村に規制要望
(HOTELIER 編集部)