不動産投資開発事業を軸に宿泊施設に新たな歴史を。成長し続ける不動産金融コンサルティング会社「ビーロット」

政府が掲げた観光立国の実現に向け、日本を訪れる外国人観光客は年々増加。今では当たり前のように日々の暮らしの中で、外国人旅行者を見かけるようになった。そんなインバウンドニーズの拡大に合わせ新築の宿泊施設が増える一方、資産価値と収益性を高めるために中古ビルをコンバージョンするなど、不動産再生により新たな宿泊施設が生まれるケースも少なくない。

このたびHOTELIER編集部が伺った企業もその一つで、不動産再生により宿泊施設として生まれ変わった大阪の特区民泊『maison MILANO中津(メゾンミラノ中津)』や、新築カプセルホテル「ナインアワーズ」の開発等を手がける株式会社ビーロット。2008年の設立より、ファーストキャビンやIMANOシリーズといった宿泊施設のほか、ビルやレジデンシャルなど数多くの再生・開発を行っており、2019年3月には新たに大阪・北堀江に『IMANO OSAKA SHINSAIBASHI HOSTEL(イマノ大阪 心斎橋ホステル)』を開業するなど、着実に成長を遂げている企業だ。

今回は、展開する事業や手がけた開発について、執行役員 不動産コンサルティング部 部長の酒匂氏と、不動産投資開発本部 投資開発3部 副部長の田代氏にお話を伺った。

執行役員 不動産コンサルティング部 部長の酒匂氏(左)と、不動産投資開発本部 投資開発3部 副部長の田代氏(右)

事業について

ビーロットさんが展開する事業について詳しく教えてください

当社はいわゆる“富裕層の方々”に向けて、「不動産」にかかわる3つのサービスをワンストップで提供している会社です。

まず1つ目が、富裕層に限らず当社のノウハウと労力、アイデア等をご提供し、その成功報酬をフィーという形でいただく「不動産コンサルティング事業」です。不動産を売りたい方と投資したい方との間に立ち、情報提供や条件交渉等に携わらせていただくことが一番多いです。

2つ目は、クライアント様と長期的な接点を持つための部門である「不動産プロパティマネジメント事業」。例えば住宅であれば、入居者がいて家賃がきちんと入ってくること、そして健全な管理がなされ、長期的に収益を生み出す資産であることを大切にしており、投資家様に“買ってもらったら終わり”ではなく、ご購入後も当社が責任を持って管理等を行い、それに対するフィーをいただく事業となります。

3つ目となる「不動産投資開発事業」は、当社として最も事業規模を占めるものです。土地や既存の建物、または企業に至るまで自社で多種多様な投資を行い、様々な形で付加価値をつけ資産価値を高めてからマーケットに供給する。それにより利益を享受する事業モデルであり、これら3つを軸に事業を展開しています。

ミッションに掲げている「社会から求められる企業」とは、どんな企業ですか

社会というのはお客様一人ひとりの集合体だと考えております。もちろん我々は日本にいる全ての方を対象にはできませんが、携わる業務領域でクライアント様と接することで、必要とされ、感謝されることを示していると考えております。

代表の宮内を筆頭に当社は、『当たり前のことを、当たり前にやっていきたい』という想いを持っています。昨今は薄くなっていると思いますが、一般の方々の中には不動産は「こわい」「騙されそう」というイメージを持っている方も多くいるかと思います。確かに業界の人と一般の方々には大きな情報格差・知識格差があるので仕方がありませんが、そうなると騙そうと思えば騙せてしまいます。しかし、そうやって利益を得て会社を大きくしようとしても、決して長続きはしません。

実は弊社の企業理念には、会社の規模や時価総額云々ではなく、“100年続いていく企業でありたい”という想いが込められています。ですから我々はクライアント様からの相談に対し、徹底してベストな方法を考え抜き、出し得る最適な解決をお示しする。そうやってクライアント様から感謝され、利益を上げていかなければなりません。それを積み重ねていくことで、クライアント様から「ビーロットに相談してみよう」「相談してよかった」「また誰かを紹介しよう」という連鎖が生まれ、社会に必要とされている会社を具現化できるのだと考えております。

未来のオーナーをイメージして商品を開発していると語る、執行役員 不動産コンサルティング部 部長の酒匂氏

用途は物件のどういう部分で判断しているのですか

やはり不動産は“動けない、そこにあるもの”のため、90%は「場所と規模」で判断します。我々は投資と括られる分野でビジネスをやっているため、日本全体の状況や物件のある街の状況も含め、一番収益性の高いものが何なのかを考えていきます。

また、その不動産を購入してくださる未来のオーナー様をイメージし商品を作っています。相続対策のためや純粋な所有欲のある富裕層、資産運用を目的にした海外在住の投資家など投資理由は様々ですが、次にオーナーになられる方が魅力を感じ、投資したいと思うものを想像しながら商品を作っていきますね。

何十棟も不動産を抱えられる大手企業とは違うため、我々は基本的に良い商品を作った場合、それなりの期間を経てどなたかにお譲りすることで売上利益を立てていくモデルを核としています。ですから単に自己満足で“かっこいい建物を建てた”というのは何の意味もなく、開発した物件に投資したいと思える人がいるかが重要になるため、そこをイメージして投資を組み立てています。

ただ、我々も魔法使いではないので、大変残念ながらご対応できないケースもあります。例えば、色々なご事情で「この金額以下では売れない」となっても、買主様がいなければどうにもなりませんし、「遊休地に何か建てたい!でも建てるお金がない!」などもそうです。この場合、金融機関のご紹介等出来る限りのことはさせて頂きますが、その結果としても上手く行かない場合には、ご希望とは別の結論や提案を出させていただくケースもあります。

オーナー様とはどのように接点を持つのですか

やはり不動産という非常に大きな商品なので、初めてお会いした方に「3億円の商品を買ってください」と言って買ってくださる方はまずいません。さらにそれ以上に「売ってください」とお願いするのは、もっとハードルが高く、相当の信頼関係が必要となってきます。

ですから、機会を頂いたお客様には我々は全力でできることをします。これにより、新規のお客様は口コミ・ご紹介がほとんどとなります。我々としては一番ありがたいお話ですが、ご紹介いただけた方の信頼を決して裏切るわけにはいかないので、次の方にも全力で喜んでいただけるサービスを提供します。この繰り返しがクライント様とのご縁が広がる一番の仕組みであり、現在はこれがメインで案件が増えています。

また、売却先であるオーナー様については、企業様もあれば個人の方ももいらっしゃいますし、海外投資家様の購入も珍しくありません。ごく稀ですが、実際に資金を拠出される投資家ご本人の顔も見ないまま終わるケースもゼロではありませんし、REIT(リート)やファンドでご購入いただくこともあります。

2019年3月に開業した『IMANO OSAKA SHINSAIBASHI HOSTEL(イマノ大阪 心斎橋ホステル)』

宿泊施設の中でも、簡易宿所が多いのはなぜですか

実際に宿泊施設を利用する方を考えた時、一昔前までは海外旅行と言えば、裕福な方であることが多く、安い宿はあまり人気がなかったのですが、今は世界的に色々なものの距離が縮まり、お金の有無ではなくいろんな嗜好の方が増えてきています。そのため様々なニーズに応えるためには、高級ホテルばかりあっても仕方がありません

しかし、我々のような企画開発側が利用者のニーズに合ったものを手がけていたかというと、それは違います。運営効率があまりよくないとか、客単価が低いと収支が合わないなど理由は様々だと思いますが、これまで簡易宿所という括りではほとんど前例がありませんでした。「建物を作ることがあっても、売ったことがない」という風に、どこかのフェーズがなかったのです。でも、我々ならやれるのでは?と。

延床1000坪以上あれば、誰でも思いつくようなホテルが建てられます。でも簡易宿所なら250坪もあれば建てられますし、ベッドも120~130床は入れられる。それに運営効率もいざ数字を組んでみたら収支も合う。じゃあ残りは、それが売れるかどうかだねって。そうして最初に手がけたのが、新宿の古ビルをコンバージョンし開発したホステル『IMANO TOKYO HOSTEL(イマノ東京ホステル)』でした。

実際に『IMANO TOKYO HOSTEL』は、我々の考えがすべて上手く具体化できました。簡易宿所に理解のある海外の投資家様に投資していただき、我々がすべて自分たちの手でトラックレコードを手に入れたことで、そこから簡易宿所の数が増えていきましたね。こうして他社に先駆けて我々が実績を残せたことで、短時間でぐっと開発を進められたのだと思います。

また、他社と異なる点と言えば、ブランドに対するこだわりがないこと。通常であれば、自社ブランドを全国に作ることでブランディングを行います。しかし我々は敢えてそこにこだわらず、各ホテルオペレーターがやりたいものに対して僕らが共感でき、ビジネス的観点でうまくいく算段が立てば一緒に進めていく。それがこだわりです。

オープンサッシのCafé&Barをイメージしたつくりが特徴の『IMANO OSAKA SHINSAIBASHI HOSTEL』

開発した宿泊施設について

IMANO OSAKA SHINSAIBASHI HOSTEL』の開発経緯を教えてください

元々、弊社のクライアント様の所有地で、駐車場として運用されながら、有効活用や資産の入れ替えをご検討されていました。最終的に売却を選択され、検討のお手伝いをさせて頂いていたご縁もあり、我々を譲り先に選んでいただきました。

立地と規模から最適用途の検証結果は自ずと簡易宿所にたどり着きました。IMANO TOKYO HOSTELの成功や、大阪インバウンドマーケットの過熱感、大阪支社開設など複数の追い風要素が噛み合っていたのだと思います。振り返れば、約4年前から有効活用のご提案をさせて頂き、当社計画がスタートしたのは約2年前です。

開発にあたり、どんなところに注力しましたか

1Fのレストランですね。宿泊者だけでなく、近隣で働いている方やお住いの方も利用できる通常の飲食店のような作り込みにしたくて、地元堀江の街に馴染むようデザインもスタイリッシュに。角地を利用してオープンサッシのCafé&Barをイメージしたつくりにしました。また、今回でIMANOシリーズは4施設目となるのですが、例えばベッドの材質や2段ベッドのはしごの形状、踏み幅の広さ。他にも水回りやアメニティ置場など共用部の作り込み方や、バックヤード動線や空間づくりなど、これまでの施設で学んだことを細かい所まで反映しています

運営会社のABアコモ様は他のIMANOシリーズも一緒ですよね

そうですね。IMANOシリーズは、ABアコモ様と取り組ませて頂いてる簡易宿所のシリーズ名称でして、1施設目の新宿からお付き合いがあり、IMANOシリーズ以外でもホテルの運営をお願いしています。これから新しく着手する案件でも相談させていただいているので、今後も施設はもちろん、それぞれの企業体としても一緒に成長しながら商品作りをさせていただきたいですね。

これまでのIMANOシリーズの経験が大阪で活かせたと語る、不動産投資開発本部 投資開発3部 副部長の田代氏

『ホテルトリフィート小樽運河』の開発経緯を教えてください

小樽はIMANO大阪とは異なり、「この土地のオーナーとなりホテルを作ってほしい」とオーナー様からオペレーターであるABアコモ様を通じて持ち込まれた案件です。実はオーナー様は、ABアコモの社長と旧知の仲である小樽の不動産会社でして、「この土地を誰かに譲ってホテルを作ってくれる不動産会社はいないか?」と、我々へ専属的にご依頼いただきました

我々は最初、小樽に対する具体的なイメージが湧きませんでした。いざ現地を見に行くと、人の多さや雰囲気を目の当たりにし、いい意味で期待を裏切られましたね。札幌よりはるかに観光資源も多いですし、十分観光立地としても成立しているなと。しかし、小樽は近年、観光客はどんどん増えているのに、10年近く大きなホテルができていなかったのです。我々は、“何をやろうか”ではなく、“ホテル開発をやるか、やらないか”の選択だったため、当然イエスとお答えし100室規模のホテル開発にトライしました。

オープンから1年ほど経ちますが、運営はいかがですか

計画より遥かに高い稼働率でとても順調に運営できています。元々、小樽は大都市である札幌から非常に近いがゆえに、“泊まらない町”としても有名でした。しかし札幌に比べ、小樽は運河など観光資源が多いことから、家族連れなど海外の方は小樽で1泊しようという動きが出てくるのでは?と推測していましたし、さらに北海道新幹線の延伸やニセコに来ている外国人富裕層なども追い風となりました。もちろんオペレーターであるABアコモ様の素晴らしいオペレーションノウハウは言うまでもありませんが、予想以上にマクロの追い風も感じていますね。

客室がとても特徴的ですよね

地方案件は特にですが、その地域のイメージを空間に取り入れています。日本ならではの畳の部屋や小樽の倉庫街、”北のウォール街”を意識した軟石、秘密基地をテーマに家族やグループで泊まれる部屋など、4タイプの空間を作りました。船の操舵をイメージした鏡も、港町の雰囲気を出せるようにしています。

小樽の倉庫街をイメージした空間デザインが特徴の『ホテルトリフィート小樽運河』

今後の展開について

一般消費者の方々が行きたいと思う場所や、作った後に投資家様に訴求できるか等もあるので、代表的な都市や観光地など、よく名前の出る場所は全部候補地だと考えています。北海道は全域で観光資源があるので、既存以外の場所でもやれたら面白いなと思いますし、まだ経験のない広島や九州、金沢なども候補になってきます。またホテルに限らず、温泉街で旅館などができないかとも考えています。とくに海外の方は富士山も好きな方も多いので、箱根や山中湖、河口湖あたりで何かできるといいですね。

最後に

業界に先駆け、「簡易宿所の開発と売却」という偉業を成し遂げ、独自でトラックレコードを作り上げたビーロット。観光資源の豊富さはもちろん、東京オリンピック・パラリンピックなど世界的イベントが控えている日本は、今後も外国人旅行者だけでなく、海外投資家からの注目も集めていくだろう。同社の手がける宿泊施設を通し、投資家や旅行者、そしてそこに住む地域の人が笑顔になり、日本が一層盛り上がっていくことを期待したい。

■「株式会社ビーロット」コーポレートサイトはこちら
■『IMANO OSAKA SHINSAIBASHI HOSTEL(イマノ大阪 心斎橋ホステル)』公式サイトはこちら
■『ホテルトリフィート小樽運河』公式サイトはこちら

(HOTELIER編集部)


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