コロナ禍の下、宿泊業界で勢力を拡大し続けるGoogle その理由とは

Googleは、世界的に最も信頼されるブランドの一つである。
このような前例のない時代において、数々の一流ホテルブランドが、顧客を呼び込むためのプラットフォームとしてGoogleに希望を見出し、Googleの助けを求めるようになっている。

過去の不況で各OTAの地位が強化されたのとは対照的に、今回のコロナ禍は、事実上旅行業界全体を停止に追い込んだため、各OTAはこれまでのようにマーケティング事業を推進できなくなり、その影響力にも陰りが見え始めている。

これは、旅行者がネットで検索をかけた時、その検索結果の画面を支配するのがGoogleの旅行製品であることを意味し、またGoogle自身がこのコロナ禍を通してシェア拡大に向け意気込んでいることをも意味する。

Googleはパンデミックの前に、すでに各OTAに対して大きな影響力を持ち始めていた
2018年には、ブッキング・ホールディングス傘下の検索エンジンKayakを抜き、世界の航空業界における最大のアクセス流入源に躍り出た。
未曾有の困難に直面している今年、Googleはホテル業界向けに新商品をリリースした。ホテルへの顧客の流入を加速させ、よりスピーディーな集客を手助けするというものだ。

ここ数週間の間に、Googleは新たな料金制度「pay-per-stay」を、世界中のホテル広告パートナーに向けてリリースしている。 これは、ゲストが実際に広告対象の宿泊施設に泊まってはじめて、ホテルがGoogleに支払うコミッションが発生するというものだ。

このCPA(Cost Per Action)の考えに基づいたアプローチにより、ホテル側は手軽かつノーリスクで広告露出の機会を増やすことが出来るようになったのだ。

ホテル側にとって「pay-per-stay」の最大のメリットは、ゲストがキャンセルした場合、コミッションが発生しないという点だ。キャンセルが横行している現在の状況下で、キャンセルのリスクをホテルパートナーと共有するというGoogleの意欲は、ホテル業界へのコミットメントを明確に示すものであり、宿泊業界のフラットフォームの転換は業界全体に大きな変化をもたらすことが予想される。

さらに、「pay-per-stay」はホテル業界の「commission-per-stay」の理念に沿っているため、キャンペーンを開始するにあたり、マーケティングチームが営業マネージャーや財務マネージャーの同意を得る努力も必要なくなるのだ。

このプラットフォームは、当初パンデミックに対処するためのものとして設立されたが、現在の危機が去った後も、Googleがこのシステムを撤廃するとは考えにくい。最初の検索から予約成立、チェックアウトに至るまで、Googleの一連のシステムは、ホテル側に手軽で費用対効果の高いマーケティングを実現すると同時に、ゲスト側にも簡素で合理的な予約の流れを実現しているのだ。

では、我々はこの予測結果をどのように判断すべきか?
我々はこの予測結果をどのように判断すべきか?仮定の精度を評価するために重要な要素は大きく分けて2つある。
第一に、ホテル(サプライヤー)との直接の関係の結果である、Google上の物件広告の増加を注視すること。第二に、他のメタ検索エンジンの減少を追跡することである。

Googleが競合他社と比較して、より多くのホテルを確保し、トラフィックを集めれば集めるほど、Googleの地位はより支配的なものになるのだ。

Googleがホテルからのインベントリを獲得するにあたって重要な要因の一つに挙げられるのは、やはりそのCPA型のサービスであろう。 今回の危機で多くのホテルが撤退を余儀なくされた中、PPC(Pay Per Click、1クリック毎に広告料が発生するシステム)型のサービスを請け持っていたマーケティング業者は、今やその姿を消している。

結果として、ホテルは資金投入をより抑えられるCPA型のシステムに移行することになるだろう。CPAは今後完璧な形になるまでには長い道のりがあるが、今の状況下において、ホテル側にとって魅力的な選択肢であることは間違いない。

もう一つの要因は、恐らくGoogle Payだ。

Googleが提供する豊富な支払いオプションは、あらゆる地域のホテルのニーズを満たすことができる。更に、ホテルに直接予約する場合通常2〜3種類程度の決済手段に限られることを考えると、ホテルを予約しようとする旅行者にとっても、Googleは紛れもなく最良の選択肢と言えるだろう。

ホテルの多くは、自前の公式サイトで、常に低い成約率に頭を悩ませてきたのではないだろうか?
そんな中、訪問者を予約に誘導するマーケティングチームなしでは、事態は悪化の一途を辿ることになる。それでも、ホテル側は自身の商品について知ってもらうため、特に衛生面や安全確保の措置について知ってもらい安心感を与えるために、自社サイト上のコンテンツを多くのゲストに見て欲しいと考えているのではないか?
そこで我々は、今後ますます多くの人がGoogle Payを利用するようになり、この動きはモバイルからあらゆる端末設備にまで拡大していくだろうと確信している。

我々がそう確信するのには理由がある。
CPAとGoogle Payという2つの側面を組み合わせることで、Googleは「直接的な旅行サービス提供者としての側面を持たないOTA」としての位置づけられることになる。 実際、Googleはすでにいくつかの旅行関連商品の開発に取り組んでおり、世界の大手OTAに取って代わろうと意気込んでいるのだ。

ハイアットのSanchit S. Rege氏は、GoogleがAIチャットボットを使って顧客の電話やメッセージに応答させるなどのサービス要素を追加する日もそう遠くないと考えている。Googleが特定の業界に突如狙いを定め、取って代わろうとする動きは、これが初めてのことではない。

以下のデータは、2009年から2013年の間に、Googleが如何にしてeコマースの価格比較エンジンを一掃したのかを示している。2009年時点では、Pricegrabber、Shopzilla、Shopping.com、Nexttag、Prontoなどの成功したサイトを誇っていた活気のある業界だった。 今やこれらの企業は、買収されたり、大規模な人員整理に踏み切ったり、吸収合併されたりと、その末路は暗然たるものとなった。

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2009年 各サイトのアクセス量比率

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2013年 各サイトのアクセス量比率

今、Googleが宿泊業界で同様の動きを展開している。
ここ数ヶ月間、Googleは検索エンジンの検索結果のページで、マップ、ホテル検索、有料広告の3つによって、ページの上半分を、即ち、ユーザーがマウスを動かすことなく閲覧できる範囲を独占しているのだ。

ホテル業におけるGoogleの台頭は疑いようのない事実である。
これがどのくらいの速さで起こるのか、またそれがOTAにどのような影響を及ぼすのかは、未知数のままだ。中には、TripadvisorやTrivagoは既に虫の息で、来年中に買収されるか、または永遠に姿を消すとの見方さえ出ている。

 

【参照記事】疫情之下,谷歌何以在酒店业获得越来越大的掌控权?

「HOTELIER編集部」


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