JR東日本スタートアップ株式会社と東京モノレール株式会社が、2019年3月18日から3月31日まで、訪日外国人旅行者を対象に旅行前の情報とクーポンの提供、旅行中の手荷物預かりサービスの利用促進までを一連で行い、観光を促す実証実験を行うことが分かった。

東京モノレールには、スーツケースなどの大型荷物を持って乗車する訪日外国人旅行者が多いという。加えて、豊富な観光資源が沿線・周辺に散在していることや、海外への情報発信が不足していることなどから、訪日外国人旅行者の観光地周遊に大きな制約が生じていた。今回、2017年度のJR東日本スタートアッププログラムにおける「アクセラレーションコース」の採択企業であるWAmazing株式会社とecbo株式会社のサービスを、駅構内の店舗や空きスペースなどJR東日本グループの資源を掛け合わせ、その解決策を探っていく考えだ。

実験では、旅する前の旅行者に訪日外国人向けアプリ『WAmazing（ワメイジング）』を通して、羽田空港・東京タワー・モノレール浜松町駅構内で使えるクーポンと観光情報を提供する。訪日後、オンライン予約による荷物預かりシェアリングサービス『ecbo cloak（エクボクローク）』の利用を促し、モノレール浜松町駅構内に荷物預かり所を設置することで、お得で気軽に観光できる環境をつくるという。

WAmazingが2017年2月にリリースしたアプリ『WAmazing』は、訪日外国人旅行者向け観光プラットフォームサービスだ。宿泊施設やレジャー施設などの予約購入が可能で、日本国内の国際線定期便が就航している20空港において、15日間利用可能な無料SIMカードの提供をフックに会員を増加させている。現在、台湾・香港・中国に加え、ASEANに向けても拡大中だ。

ecboが2017年1月に東京都内でスタートした『ecbo cloak』は、“荷物を預けたい人”と“荷物を預かるスペースを持つお店”をつなぐシェアリングサービスだ。ネットで事前予約することで、コインロッカーの代わりにカフェ・美容院・レンタサイクル・着物レンタル店・神社・郵便局・一部駅など、多種多様なスペースに荷物を預けることができる。現在、東京・京都・大阪・福岡・沖縄・北海道・愛知をはじめ、全国の主要都市で利用できる。国内外の旅行者による旅先での利用だけでなく、イベント参加の際や日常生活における買い物など、さまざまなシーンで利用されているという。またベビーカー・スポーツ用品・楽器など、コインロッカーに入らないサイズの大型の荷物も預かっている。『ecbo cloak』公式サイトはこちら。

国土交通省は手ぶらで観光できる環境を定着させるため、2013年度から物流および旅行関係の団体・機関とともに“手ぶら観光”を推進している。“手ぶら観光”を実施しているカウンターに共通ロゴマークを掲示したり、カウンターのリストをホームページで国内外に発信するなどしている。このほか、佐川急便・ヤマト運輸・日本郵便などの企業や各自治体も“手ぶら観光”サービスに取り組んでいる。

手荷物を預けられることは、旅行者の負担が減るだけでなく、公共交通機関での混雑緩和にも繋がる。このたびの実証実験のように、観光情報やクーポンの提供～手荷物の預かりが一連で行えることで、旅行先での予定も立てやすいのではないだろうか。実証実験で良い成果が得られ、今後の“手ぶら観光”推進に寄与していくことを期待したい。

■実証実験概要
1.期間：『WAmazing』のクーポン利用／2019年3月18日～未定
『ecbo cloak』の設置／2019年3月18日～3月31日 8:00～20:00（予定）
2.場所：『WAmazing』のクーポン利用場所／羽田空港第1・第2ビル駅構内のお土産店等3店舗、浜松町駅ビルの飲食店2店舗、東京タワー
『ecbo cloak』の設置場所／浜松町駅ビル2階
3.クーポン内容：羽田空港・浜松町の店舗（会計時5％割引、ノベルティプレゼント、トッピング無料等）、東京タワー（メインデッキ展望料金割引）

【参照サイト】
・東京モノレールでインバウンド向け実証実験 手荷物預かりとクーポンで”手ぶら観光”を促進！
・国土交通省｜手ぶら観光の推進

（HOTELIER 編集部）