静岡県の老舗温泉旅館「大沢温泉ホテル」が破産開始決定。負債総額約4億2000万円
静岡県賀茂郡松崎町で温泉旅館を経営していた株式会社大沢温泉ホテルが、静岡地方裁判所下田支部から破産開始決定を受けた。負債総額は約4億2,000万円。
同社が経営していたのは「大沢温泉ホテル依田之庄」。江戸時代の庄屋屋敷を改装して1961年に開業、64年に会社を設立していた。91年5月期から93年5月期にかけては4億円台の売上高を計上し安定した利益を得ていたが、その後は次第に客足が鈍化。99年には本館に露天風呂を開設したものの、投資が負担となり採算面が悪化し09年頃には取引先への支払い遅延などが発生していた。11年の東日本大震災を受け業績はさらに低迷、14年6月からは休業状態にあった。
その後不動産は競売によりNPO法人に売却されていたが、負債が残り今回の破産開始決定となった。今年3月には松崎町が不動産を買い取り、「旧依田邸」として土日のみ一般公開しているという。
静岡では老舗を含め温泉旅館の破産が相次いでいる。今年3月には映画「テルマエ・ロマエ」のロケ地となった「大滝温泉天城荘」を経営していた天城自然公園株式会社が負債総額3億2,000万円で、4月には「ホテル山海亭」などを運営していた有限会社山海荘が負債総額約11億円で民事再生法の申請を行った。
今後は観光地としての魅力を明確に訴求し、国内からの観光客だけでなくインバウンド誘致施策を実施するなど根本的なテコ入れが必要だろう。
【参照記事】
・静岡の大沢温泉ホテルが破産開始決定、負債約4.2億円
・伊豆の山海荘が民事再生法申請、負債11億円
・映画「テルマエ・ロマエ」のロケ地になった温泉旅館「天城荘」の運営会社が倒産
(HOTELIER 編集部)