福島第1原発、JR常磐線富岡-広野間、復興へホテルラッシュ
福島第1原発事故からの復興を目指すJR常磐線沿線で、ホテルの進出が相次いでいる。住民が一時避難した福島県広野町と楢葉町がそれぞれ整備を進める駅前の再開発地区には、来年夏から秋にかけて200室以上を備えるビジネスホテルが開業する見通しだ。第1原発の廃炉や復興工事などの関係者たちの利用を見込んでおり、地域の活性の拠点としての役割も期待されている。
広野駅東側では「ハタゴイン福島広野」(仮称)が8月着工、来年10月の開業を予定している。用地は東日本大震災の津波で浸水し、町が整備を進めている復興拠点の一部だ。7階建てでシングルを中心として222室を備える。レストランや大浴場、会議ができる多目的ホールも設ける。
楢葉町の竜田駅東側では、来年7月末の開業を目指す「楢葉ホテル」(仮称)の工事が今月始まった。町が廃炉関連などの企業活動をサポートする拠点として、再開発した用地を活用している。神奈川・箱根の老舗旅館「一の湯」のグループ会社が建設し、4階建て207室を備える。新たに掘削する温泉を利用した温浴施設や、レストラン、コンビニは宿泊客以外も利用できる。小川晴也社長は「当面は7~8割が廃炉関係者の利用を見込んでいるが、将来は観光目的の利用にも耐えられる施設を備えた」と語る。
他にも避難指示が解除された富岡町の富岡駅前にも今年10月の開業を目指し「富岡ホテル」の建設が進み、常磐線竜田-富岡駅間の運行も同時期に再開予定だ。あえて原発事故の「最前線」をアピールし、廃炉に加え原発ツーリズムを目的とした利用も期待する。
広野、楢葉両町にまたがるサッカー施設のJヴィレッジも再開するため、今後もこのエリアのホテル建設が加速していくとみられる。
【参照記事】
・福島第1原発事故 常磐線富岡-広野間、復興へホテルラッシュ 廃炉関係者の利用見込み
・<原発事故>広野、楢葉でホテル建設始動
(HOTELIER 編集部)