京都府、住宅宿泊事業の合法物件を「優良民泊」に認定する独自の制度を創設
京都府が住宅宿泊事業法(民泊新法)における合法物件向けに、一定の基準を満たした住宅宿泊施設を「優良民泊」として認定する制度『京都府優良住宅宿泊施設認証制度』を創設したことが分かった。
この制度は、2018年3月に成立した『京都府住宅宿泊事業の適切な実施の確保等に関する条例』などの規定により、住宅宿泊事業者等が講じるべきとされている基準に加え、京都府知事が別に定める独自の推薦基準として「損害賠償保険等への加入」「外国人・障害者等に配慮した施設運営」「地域との共存・共栄するための取組の実施」などの基準を満たした施設を認証し、優良民泊を“見える化”するものだ。
京都府はこの制度で「地域住民や宿泊者の安心・安全の確保を図りつつ、地域交流人口の拡大につながる住宅宿泊事業の増加を促し、観光産業を振興する」ことを目的としている。
対象施設は、京都府内(京都市を除く)において、住宅宿泊事業法第3条に基づく届出を行って住宅宿泊事業が営まれている施設だ。なお、認証施設は『京都府優良宿泊事業地域連携支援事業費補助制度』を活用できる。
『京都府優良住宅宿泊施設認証制度』は、以下1~4のいずれも満たしていることが認証基準である。
1.条例第4条、第5条及び京都府住宅宿泊事業の適切な実施の確保に関する条例及び同施行規則に係る運用要領(ガイドライン)1、2で住宅宿泊事業者等が講じるべきとしている基準に掲げる以下の全ての措置を講じていること
(ア)宿泊者が利用する飲食器具、寝具等は、常に清潔にし、定期的に消毒すること
(イ)浴衣、敷布、布団カバー等は、宿泊者ごとに洗濯したものと交換すること
(ウ)届出住宅の換気、採光、照明、防湿及び排水の設備の保守点検を行うこと
(エ)届出住宅は、常に清潔にし、ねずみ、衛生害虫等を駆除すること
(オ)浴室及びトイレは、定期的に消毒し、トイレは防臭及び防虫の措置を講じること
(カ)宿泊者名簿に、宿泊者の年齢を記載すること
(キ)宿泊者名簿に、前日及び後泊の宿泊場所を記載すること
2.条例第7条及び京都府住宅宿泊事業の適切な実施の確保に関する条例施行規則第3条から第6条に規定する「努力義務」に掲げる以下の全ての措置を講じていること
(ア)近隣地域へ住宅宿泊事業の用に供するものであることについて説明すること
(イ)事故発生時や、その他の緊急時における迅速な対応のための体制を整備すること
(ウ)対面やそれと同等の方法により、宿泊者の氏名、住所、職業を確認すること
(エ)宿泊者の利用状況等を定期的に確認すること
3.住宅宿泊事業を営む施設を対象とした損害賠償保険等に加入すること
4.地域住民や宿泊者の安心・安全の確保を図りつつ、地域交流人口の拡大につながる以下の(ア)~(ウ)の取組のうち1つ以上を行っていること
(ア)住宅宿泊管理業者への委託義務のない住宅宿泊事業者が住宅管理事業者等へ委託することにより良好な管理運営を行っていること
(イ)外国人旅行者や高齢者、障害者へ配慮した施設運営を行っていること
(ウ)地域と共存・共栄するための取組を行っていること
申請書や必要書類は、京都府商工労働観光部観光政策課へ持参または郵送にて提出する。認証期間は認証日から2年以内で、認証の更新は認証満了日の2ヶ月前から申請可能だ。認証された施設は、京都府観光連盟のホームページに開設する専用ページで公開される。また認証を受けた施設は、当該施設において認証を受けた事実を明示するため、認証期間を明示したステッカーを住宅宿泊事業の標識とともに公衆の見やすい場所に掲示する必要がある。
京都府の2017年の観光入込客数は約8.687万人で過去3番目に高い記録となった。また外国人宿泊者数は約361万人で、5年連続で過去最高を更新している。住宅宿泊事業では、都道府県及び保健所設置市(政令市・中核市等・特別区)の全150自治体において、「区域・期間制限を含む条例を制定している自治体」は52自治体あり、京都府もこれに含まれる(2019年2月1日時点)。京都府の住宅宿泊事業法に基づく届出及び登録の状況は、届出件数・届出住宅数どちらも32件(2019年2月15日時点)だ。
認証された施設にステッカーが貼られることで、地域住民は「優良民泊」であると確認でき、宿泊者は保険への加入や衛生面などに配慮された施設であることが分かる。「優良民泊」が増え、京都府の観光産業の振興につながると期待したい。
【参照記事】
京都府、合法民泊向けに独自の「優良認証」制度を創設 損保加入など条件14項目
【参照サイト】
・各自治体の窓口案内(条例等の状況等)
・平成29年京都府の観光入込客数等について~観光消費額、外国人宿泊客数が過去最高を更新~
(HOTELIER 編集部)