不動産投資市場、多くのエリアで期待利回りが低下するも、不動産投資家は積極的な投資姿勢
一般財団法人日本不動産研究所(JREI)は11月27日、今回で39回目となる「不動産投資家調査」(2018年10月時点)の結果を発表した。アンケート調査の対象は、ディベロッパーやアセット・マネージャー、生命保険、投資銀行、不動産賃貸など197社。うち153社より回答を得た結果である。
Aクラスビル(オフィスビル)の期待利回りは、「千代田区丸の内・大手町地区」が2期連続の横ばい、その他の地区の多くは0.1ポイント程度低下した。また地方都市でも低下傾向が続き、中でも「札幌」「福岡」は0.2~0.3ポイントと大きく低下。
賃貸住宅の期待利回りは、平均築年数5年未満のワンルームタイプ・ファミリー向けタイプ共に、東京の「城南地区」が4.4%。その他地区でも0.1~0.3ポイント程度低下している。
またショッピングや飲食など、インバウンド需要の影響が大きい商業店舗(都心型高級専門店)や「宿泊特化型ホテル」は、多くの地区で期待利回りは低下。特に都心商業の「銀座」の期待利回りは、前回比0.1ポイント低下の3.4%となり、03年の調査開始以来最も低い水準を更新。初めて丸の内・大手町を下回る結果となるなど、全体的に低下傾向が続いている。
とはいえ、不動産投資家の今後1年間の投資に対するスタンスは、「新規投資を積極的に行なう」が前回調査と同様に90%と高く、「当面、新規投資を控える」という回答は、前回調査より1ポイント低下の7%にとどまった。米中貿易戦争など世界経済に対する先行き懸念が指摘されはいるものの、国内の不動産投資市場に直接的な影響は少なく、今後も積極的な投資姿勢は続くとみられる。
2019年にはラグビーワールドカップ、2020年の東京オリンピック・パラリンピック、そして2025年は大阪万博の開催が決定するなど、今後も日本のインバウンド需要はより一層伸びていく中、不動産投資家の積極的な投資意欲が日本の経済を下支えしていくだろう。
【参考記事】
不動産投資家、積極的な投資姿勢続く
【参考サイト】
第 39 回 「不動産投資家調査」(2018 年 10 月現在)の調査結果
(HOTELIER編集部)