民泊仲介サイトのAirbnbは2019年1月16日、同社サイトのリスティングにおけるホテルの掲載件数が急成長を遂げていることを明らかにした。

約1年前と比較し、ブティックホテル・B&B（ベッド&ブレックファスト）・ホステルなどの宿泊施設のリスティング数が152%を記録したという。同社は2018年2月に今後10年間の展望をロードマップとして発表しており、民泊に加えブティックホテルやデザイナーズホテルなどの掲載を強化する方針を示していた。ロードマップ発表から約1年経ち、リスティング数は急速に伸び、これまでの“民泊仲介サイト”という枠を超え同社のホテル分野への進出が数字となって表れた。

また同社によると、Airbnb経由でホテルを予約したユーザーの9割近くがその後もAirbnbで民泊物件などを借りる傾向があり、サイト全体を活性化する効果も見られるという。Airbnbで予約した宿泊施設に対し、宿泊客は5段階評価で平均4.7の評価を与えている。

Airbnbは日本国内においても、大手チェーンホテルからゲストハウスに至るまで、旅館業法を取得したホテルの掲載を加速している。2019年1月時点で、世界最大手のホテルチェーン『マリオット・インターナショナル』系列のホテルや、世界初のロボットホテル『変なホテル』など約100軒が含まれている。さらに、日本のさまざまな企業や組合などと連携し事業を拡大している。

2017年9月、一流ホテル旅館の宿泊予約サイト『Relux（リラックス）』を展開する株式会社Loco Partnersと業務提携した。2018年8月にシステム連携が完了し、『Relux』に掲載されている宿泊施設がAirbnbに掲載され、世界中のユーザーが予約可能となった。

2018年8月には、別府市旅館ホテル組合連合会と、別府を訪れる日本国内外からの旅行者数を増大させる「観光促進施策」を推進することを目的とした覚書を締結した。日本国内で旅館ホテル組合がAirbnbと連携するのはこれが初めてのことだ。別府の宿泊施設を中心に宿泊場所提供者（Airbnbホスト）に対し、Airbnbを含む新たなインターネット・プラットフォームへの適応を促進すための基本的なトレーニングなどを提供する。また、マーケティングやキャンペーンを通じ、別府の観光に関する取り組みを促進していく方針だ。

さらに2018年10月、AirbnbはJR四国と観光事業で包括的業務提携を行った。鉄道会社とAirbnbが組むのはこれが初めてだ。より多くの観光客に四国エリアを旅行してもらうため、地域の空き物件などを活用した宿泊施設や体験プログラムの共同開発を実施する。JR四国は、日本地域に根差した住宅宿泊事業法のさらなる発展と、シェアリングエコノミービジネスの拡充に向けた事業推進を行う『Airbnb Partners』へ参画する方針を示していた。第一弾の取り組みとして、JR四国が2018年11月に徳島県三好市開業した「4S STAY 阿波池田駅前」の開業に向けた集客をAirbnbが支援したり、体験コンテンツの共同開発や世界に向けた発信も行なうとしていた。

Airbnbはロードマップのなかで「2028年までに年間のゲスト数10億人突破を目指します」と述べている。これに向け、従来3タイプだった部屋を4タイプ増やしより高度な検索ができるようにするなど、さまざまな取り組みを行っている。Airbnbの通算ゲスト数は創業から10年で4億人以上だ（2019年2月現在）。このペースでゲストが増え、取り組みによってゲストの満足度が向上すれば、目標を達成できる可能性があるだろう。創業者がアパートを貸し出したことから始まったAirbnbは、今や世界最大級の宿泊予約サイトへと成長した。今後も同社の動向に注目していきたい。

【参照記事】
Airbnb、ホテルのリスティング数が「152％増」の急成長　ホテル業界での存在感を拡大
【参照サイト】
・Airbnb、すべての人にマジカルな旅を届けるための ロードマップを発表
・一流ホテル・旅館の宿泊予約サイト「Relux」とグローバルな旅のプラットフォーム「Airbnb」が予約業務提携を開始、国内外のAirbnbユーザーへ伝統的な日本旅館の予約の促進を狙う
・Relux、Airbnbへ宿泊施設の提供を開始
・別府市旅館ホテル組合連合会がAirbnbと提携
・JR四国とAirbnbが四国の観光資源を世界に向けて発信

（HOTELIER 編集部）