日本の旅をより快適なものに。訪日外国人向けの音声通話付きSIMカードを提供する「Mobal(モバル)」

『海外旅行時に携帯電話で通話をしたら、翌月の請求金額がとんでもないことになった!』

…そんな経験はないだろうか。これは「国際ローミング」と言う日本で契約している携帯電話を海外でも利用できる仕組みであり、現地から日本や現地から現地にかけても国際通話扱いになる。さらに日本からの電話は着信でも有料となる。そういった問題から海外では、空港やコンビニなどで手軽に音声付きSIMカードを手に入れることができる。しかも面倒な契約手続きなどはなく、SIMカードを差して数時間後に開通ができるのだ。こうした通信事情は海外では一般的となっている。

しかし日本はどうだろう?データSIMのみの購入は手軽にできても、音声付きのSIMを手に入れるには、大手キャリアのショップや家電量販店での購入が必要となる。さらに面倒な書類手続きがある上、俗に言う「2年縛り」や「解約金」といった問題も発生する。もし訪日外国人が日本へ旅行する際、データ通信だけでなく通話もしたいとなったら、どのように対応すればよいのか。

こうした日本の通信事情の問題を解決するため、日本で唯一、海外販路を用いて音声付きSIMの販売を手がけているのが、今回取材に訪れた「Mobal(モバル)」。訪日外国人の増加とともにニーズが高まっている同社のサービスについて、営業担当である山田 真人氏、Declan Somers(デクラン・サマーズ)氏にお話を伺った。

同社の「ジャパンSIMカード」は、海外販路を用いて提供される日本で唯一の音声付きSIMカードだ。

 

世界で36万人のユーザーを抱えるMobal(モバル)

モバルについて教えてください

当社は1989年に社長であるトニー・スミスが立ち上げたイギリスの会社です。設立当時は衛星電話が流行っていた時代で、海外に行った時はお金を払って携帯を使っていたのですが、そこに目をつけ携帯電話のレンタルサービスからスタートしました。当時はまだSIMカードの存在自体が認知されていなかったため、彼はSIMカードを最初に取り出して旅行者に貸し出した人と言われています。

その後は世界の様々な大手通信企業とパートナーシップを組み、イギリスだけでなく、アメリカや日本にもオフィスを構え、現在は海外携帯電話・海外SIMカードの販売、レンタル業務など世界規模でサービスを展開しています。

日本で事業を展開したきっかけは?

社長のトニーは日本通信の当時の社長とのコネクションがあり、彼のビジネスや人柄に惹かれたのが日本に来るきっかけになりました。当時モバルが強かったのが、ビジネスユーザー向けの海外での端末貸し出しで、日本通信も海外に行ったときに使えるものがなく、モバルが日本通信のネットワークを介して行ったという経緯がありますね。

日本の携帯は契約などが面倒な上、訪日外国人向けに作られていないと話すDeclan Somers(デクラン・サマーズ)氏。

日本の携帯市場はどう思われますか

正直、外国人には優しくないですよね。観光で来たら当たり前に番号があるのが普通ですから。今までも日本でデータSIMはありましたが、電話番号がもらえないのがネックでした。やはり日本は日本人のために作るじゃないですか。だから2年契約とかの縛りは通用するのですが、短期滞在するような外国人へのサービスが存在しないのです。格安SIMでも半年とか掛かりますしね。

日本以外のほとんどの国は、SIMの抜き差し一つで自分の携帯を使えるところからすると、日本の携帯事情は外国人から見ると違和感があるんじゃないかと思います。しかも日本に到着してから外国人は知ることがほとんどですし、電話番号とデータが別々なので戸惑う人も多いんじゃないですかね。

御社の「ジャパンSIMカード」について教えてください

「ジャパンSIMカード」は、ソフトバンク回線を使い日本で使える「070」「080」の電話番号が利用できる音声付きSIMカードです。契約や解約金は無く、全世界の方がビザや住民票がなくても手軽に入手することができます。また、オンラインでの注文・開通作業のほか、世界中に無料発送が可能のため、日本を訪れる前から準備をすることができるのが特長です。

使わない月は利用料金が掛かりませんし、キャンセルはいつでもできることから、観光で訪れる人はもちろん、外国人留学生、海外に住む日本人が帰国する際になど、様々な方に利用されています。

オンライン注文や無料発送が可能なため、訪日前に準備ができると「ジャパンSIMカード」のメリットを語る山田 真人氏。

企業向けにどんな販促を行っているのですか

例えば旅行代理店さんなら、大量に海外観光客が来るときにご紹介いただいたり、HPにリンクを貼りお客さんに見ていただいたり。あとはMICEなど短期間で海外から多くの人が来るときは、何百枚というSIMカードを旅行前に提供しています。あとはオリンピック・パラリンピックでもある国の代表に使って頂いたこともあります。オリンピックはセキュリティ面で事前に電話番号を把握しておかなければならいので、今も結構問い合わせが来ていますね。

宿泊施設とタイアップした場合、どのような販促が行えますか

ホテル様のHPなどに当社の専用リンクを貼って頂いたり、ホテルの受付などで直接販売をしていただくことで、注文1件につき手数料をご提供することができます。当社のSIM同士でしたら通話が無料になりますので、例えばホテルの近くにMICE会場があるのでしたら、ホテル宿泊者様に集団でSIMカードを紹介してもらうとか。英語対応のカスタマーサービスもあるので、何か問題があってもホテル様で対処する必要がないので、業務効率の向上も図れるかと思います。

同社の売上は、マラウィで生産されるコーヒーや紅茶を支援し、それらの売上が学校支援や職業訓練支援に使われている。

今後の目標を教えてください

2019年にはラグビーワールドカップ、2020年にはオリンピック・パラリンピックが日本で開催されるので、今まで以上に多くの方に利用してもらいたいですね。当社の利点をアピールできる絶好のタイミングだと思うので、ホテル様など宿泊施設と協力してSIMの売り上げが10倍、15倍と続いていくように、外国人に特化した推進事業に変えていきたいです。

その次のステップとしては、国内で日本人にも使ってもらえるようなサービスを提供していきたいです。原則として日本国内で販売することはできないのですが、今後は色んなMVNO事業者とも組んでいければと思っています。実は当社のSIMはチャリティ型の商品でして、SIMの利益の9割はマラウィの学校支援活動に使われています。SIMを使うことで給食支援や職業訓練支援ができるので「世界を旅するだけでなく、世界を変えられる」と。

これは当社ならではの強みだと思うので、日本に滞在している人や日本人にもチャリティ型の商品として広まってもらえばいいですね。
また、海外の受け取り場所も増やしていきたいなと思っています。今年の9月に「JAPAN RAIL CAFE」と提携しシンガポールでもサービスが始まったばかり。そこは欧米人がメインではないので中国人にシフトしていくと思いますが、一つひとつ確認しながら海外のエージェントを増やしていきたいです。

今後は訪日外国人だけでなく、国内で日本人にも利用できるサービスを提供できるよう様々な打ち手を考える山田氏。

最後に

「ガラケー」という言葉が生まれたように、日本国内での通信事情は他国と異なり、「日本に住む人」を対象にサービス・プランが作られることが習慣化されている。しかし観光立国を推進している現在、多くの訪日外国人がこの日本の通信事情という壁にぶつかり、旅の中で不自由を感じているのも事実。
同社のサービスが訪日外国人だけでなく、日本で暮らす私たちの中でも認知度が向上することで、訪日外国人の日本滞在がより便利で快適なものになるだろう。

■「Mobal(モバル)」公式サイトはこちら

(HOTELIER編集部)


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