ホテルの価格戦略支援サービス運営の株式会社空、複数投資家から8,000万円調達
株式会社空が、複数投資家から8,000万円を調達したことを明らかにした。
ホテルが高過ぎず安過ぎない、最適な価格設定をすることを可能にする価格戦略支援人工知能プラットフォーム「MagicPrice」、「ホテル番付」を提供している同社。今回は500 Startups Japan、大和企業投資、エンジェル投資家複数からの出資、および、日本政策金融公庫からの融資(資本性ローンと推定される)から8,000万円を調達したという。調達ラウンドは不明。
「MagicPrice」は、2016年7月にβ版としてサービス提供を開始。予約履歴などの自社データをインポートし、周辺ホテルなどの競合データをクローリングし、機械学習で最適な価格をリアリタイムに計算するものだ。計算された価格は、自社サイトのほかサイトコントローラを経由して、旅行予約サイトや OTA にも反映させる仕組みをとっている。
多忙なホテル現場の状況を考慮し、操作にあたってリテラシーを必要とする機能は実装せず、運用を限りなく自動化できるように設計されている。今年3月には、ホテルシステム大手のダイナテック(ヤフーが親会社)と提携している。現在のユーザ数は明らかにされていないが、当面は日本のホテル・旅館の約10%にあたる5,000ユーザの獲得を目指すという。
「ホテル番付」は、8月29日に開始したばかりのプラットフォーム。ユーザであるホテルオーナーは、周辺の競合ホテルと比較し同じ日に各ホテルがどのくらい予約され、売上があったのかを知ることができる。インターネット上に公開されている客室価格と販売室数を用いた計算により、毎日1万軒以上のホテルのデータが自動算出される。ホテル番付は完全無料で提供されており、MagicPrice の呼び水的なプロモーションツールとしての位置付けと見られている。ローンチからの約1ヶ月で、500人以上の宿泊施設関係者がユーザ登録を完了したという。
同社は2015年、ヤフーでアドテク関連の業務に従事していた松村 大貴氏らにより設立。2016年3月に TECH LAB PAAK 第3期デモデイでコロプラ賞を獲得、2016年7月に Incubate Camp 9th への参加チームに採択、2016年8月に 500 KOBE PRE-ACCELERATOR への参加チームに採択されている。この3つのイベントへの参加が契機となり、2016年7月にも500 Startups Japan、インキュベイトファンド、千葉功太郎氏(TECH LAB PAAK 第3期デモデイでコロプラ賞を授与する審査員を務めた)から、シードラウンドで約2,000万円(推定)を調達している。
同社のサービスに見られるようなビッグデータの活用で、今後ますます宿泊施設のマーケティング力が向上していくことだろう。
【参照記事】
ホテルの適正価格を教えてくれる価格戦略支援AIプラットフォーム「MagicPrice」「ホテル番付」運営、複数投資家から8,000万円を調達
(HOTELIER 編集部)