埼玉県内の基準地価、住宅地で9年ぶりプラス。2019年ラグビーW杯の影響も
埼玉県は19日、今年7月1日時点の県内の基準地価を発表した。住宅地は前年に比べ0.1%上昇し、9年ぶりにプラスとなった。東京への通勤圏内のさいたま市などで、マンション需要が依然として高いのが要因だ。商業地と工業地はともに4年連続で上昇。工業地は首都圏中央連絡自動車道(圏央道)沿線の需要が堅調で、上げ幅は前年よりも増えた。住宅地の価格を地域別にみると、都心から30キロ圏内を中心に上昇した。
調査の代表幹事を務めた不動産鑑定士の山口 和範さんは「JR川口駅や浦和駅の徒歩圏にある物件がとりわけ好調。東京駅や新宿駅まで30分弱で着き、同じ条件の都内の物件と比べ割安感がある」と分析する。特に浦和駅は、湘南新宿ラインの停車や上野東京ラインの開業で、都内に通勤・通学する人の利便性が高まったため、地価を押し上げているとみられる。
一方、県北部や秩父地域といった郊外では下落傾向が続いているものの、下落幅は縮小した。山口さんは、その要因として「駅徒歩圏、大型商業施設の近く、区画整理地が局地的に人気が出ている」と指摘する。工業地の上昇率は3.1%。上げ幅は1.3ポイントで、前年の0.9ポイントを上回った。商業地の上昇率は0.5%で、上げ幅は0.3ポイントとなった。JRや東武が乗り入れる大宮駅周辺でオフィスビルの需給がひっ迫で、再開発が予定されている浦和、川口、所沢の各駅周辺も上昇しているという。
一方、新たなホテル需要も生まれている。2019年のラグビーワールドカップの試合会場の一つは熊谷市にあり、山口さんは「熊谷、深谷市でビジネスホテルが建ち始めている。2020年の東京五輪を見据え、県内のホテルを買う動きも出ている」と話す。
※今回の地価調査は県内832地点(住宅地650、商業地136、工業地43、林地3)で行われた。
【参照記事】
県内の基準地価 住宅地、9年ぶりプラス
(HOTELIER 編集部)