【連載/サクラクオリティ】ガイドライン公表後の感染症対策状況と課題点

【連載/サクラクオリティ】ガイドライン公表後の感染症対策状況と課題点

2020年5月14日に新柄コロナウイルス感染症に対するガイドランが公表されてから、一定期間が経過し、7月22日からは東京以外でのGoToトラベル事業もスタートしました。

その後現在の新型コロナウイルス感染症拡大防止対策はどのような状況にあるのか、現状の取り組み状況、今後の課題点について整理しておきたいと思います。

●ガイドラインと実際の取り組みとのギャップ

これまで多くの感染症拡大防止のお手伝いをする中で、ガイドランと実際の取り組みとのギャップを観察しますと、概ね以下の通りと考えられます。

▽感染症拡大防止に対する意識レベルに差異が見られます。
意識を変える必要があること、それが最も重要であることが現場に伝わっていないケースが多く見られます。
消毒薬知識レベル、消毒手順が不正確な事例が散見されます。
▽宿泊施設毎でガイドランの受け取り方に格差が見られます。
▽自治体ベースでのガイドラインも多く提供されており、いずれのガイドランを重視してよいか混乱が見られます。
▽スタッフの日々の行動自粛の指針が不明瞭であることから、スタッフに罹患者が生じるケースが見られます。
バックヤードの自衛策がやや不足しているケースが散見されます。
▽スタッフが濃厚接触者にならないことの重要性に認識不足が見られます。
▽なぜレストランでビニール手袋をする必要があるのか、なぜアクリル板を設置する必要があるのか、その「理由」が十分に理解できていないことから手袋を交換せず且つ消毒しない状況で、逆に接触感染の危険が認められるケースも見られます。
荷物のケアを自衛策なく行うケースが見られます。

●今後の課題点について

また、今後の課題点について整理しますと、以下の通りとなります。

▽今後継続して取り組みが必要との意識が不足している印象を受けます。(もちろん「終息」することを願うばかりではあるが)。
▽37.5℃以上だけではなく、どのような症状が見られた場合にどのように行動するべきかに関し各施設がマニュアル整備する必要があります。
▽感染症対策の構築が労働契約法第5条にある安全保護義務の範囲でもあり、正社員だけではなく、関係するスタッフ全員を徹底して防御する体制構築が改めて必要です。
最新データに基づいた取り組み行う必要があります。
▽最新データに基づいた取り組みが実施できているか、顧客に正確に伝えると同時に、施設と顧客が一緒に取り組んではじめて感染症拡大防止に繋がることから顧客側の感染症拡大防止に対する意識を高める必要があります。
▽情報提供について、海外顧客向けでの感染症拡大防止策を伝える準備が必要です。
▽顧客側に熱があっても協力してもらえない、マスクの着用をしない等の場合の対応策等具体的なQ&A整備が必要です。
▽最新データに基づいた取り組みを自発的に常に向上させて行っていることを可視化することが求められます。
スタッフ感染症教育訓練プログラムの必要性、その中で安全衛生委員会の設置する必要がある他、防災訓練と同レベルで、定期的に感染症対応訓練を実施する必要があります。

●「サクラクオリティ安全行動基準」バックヤードに関する感染症対策

以下では特に上記の中でバックヤードの安全対策に焦点を当て、弊会が関与しておりますDMOとの品質認証制度、「サクラクオリティ」の感染症対策検討委員の助言に基づいてご用意している「サクラクオリティ安全行動基準」よりバックヤードに関する感染症対策をご紹介します。

労働契約法第五条には、「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。」としており、また、労働安全衛生法第3条第1項(事業者等の責務)では、「事業者は、単にこの法律で定める労働災害の防止のための最低基準を守るだけでなく、快適な職場環境の実現と労働条件の改善を通じて職場における労働者の安全と健康を確保するようにしなければならない。また、事業者は、国が実施する労働災害の防止に関する施策に協力するようにしなければならない。」と定められています。

「労働者の安全に配慮する」というときの「労働者」には、元請からみた下請労働者や派遣先からみた派遣労働者を含みます。安全配慮義務には「心身の健康」と「職場環境の配慮」も含まれており、健康配慮義務及び職場環境配慮義務を包含しています。感染症対策の構築及び実践もその1つであり、新型コロナウイルス感染症に対しても十分な安全配慮義務を尽くす必要があります。

例えば、職場環境で避けられる限り3密をさける、時差通勤やテレワークを認める、出張の削減などできることをしっかりやっておく必要がある。フロントでのアクリル板設置やフェイスシールド等の着用、混雑時の時間帯を避けるよう顧客に呼びかけすることも含まれます。

まずは、労働安全衛生法に基づく、「総括安全衛生管理者」、「衛生管理者」、「安全衛生推進者」、「安全管理者」等を適法に運用していることが前提となります。
その上で、感染症対策を行う安全衛生委員会の設置及び適切な運営が望まれます。

●感染症対策を行う安全衛生委員会の機能

当該委員会の機能としては、以下のことが挙げられます。

①労使が一体となって感染症対策の実施内容を検討すること。
②感染が疑われる顧客が生じた際の対応策、手順マニュアルを作成すること。
PCR検査依頼時の相談先、万一陽性評価が出た場合に備えた相談先医療機関や医師の確認
④スタッフ全体に日々の行動について、感染症予防を重視した活動を行うよう働きかけること。
更衣室、食堂、事務所、会議室、仮眠室、その他スタッフが常駐するような機械室や駐車場管理室等を含め、(以下「バックヤード等」と称します。)バックヤード等に関する感染症対策の構築に当たっては、バックヤード等を「グリーンゾーン(安全なエリア)」と位置づけ社内でどのような取り組みを行うのか周知徹底することが重要となります。

列挙しますと以下の通りとなります。

▽一定の場所に手指消毒、上着を脱ぐ、スリッパに履き替える等の「イエローゾーン」を設けること。
▽自動販売機や電子レンジ、コピー機、電話機、照明や空調、テレビ等のボタン、ドアノブ等にスタッフが接触すれば、原則としてスタッフが触った都度、当該スタッフが消毒を行うこと。
▽バックヤード等は全て、二酸化炭素濃度が0.1%以下であるか常に確認し、しっかりと換気を行うこと。湿度は40%~65%程度で維持すること。また換気が徹底できるよう、例えば対象スペースの整理整頓を常に行い、リネン類等がある場合は布でカバーしておくこと。
▽バックヤード等は、明確な目的がある場合の入室に限定すること。入室の際は、手指消毒をし、上着を脱ぎ、靴を履き替えること(個々人用スリッパでも可)。
▽バックヤード等では、マスクを着用し、密にならないよう配慮すること。
▽食堂では、食事中の私語を慎み、密にならないよう席配置を確認することの他、十分な換気を確認すること。また、箸や食器、調味料等できるだけ小分けに管理し、それらの入れ物をスタッフ間で共有しないこと。
▽飲み物等は都度洗い、また接触し消費したものはその都度ゴミ箱に廃棄すること。
▽ゴミ処理では、ビニール手袋を着用し、その後手指の消毒を行うこと。
▽更衣室では、入室制限等により密を避けること、十分な換気がなされていることを確認すること。さらにユニフォームは、都度洗濯されているものを着用すること。
▽椅子や家具類で布製等の場合には、ビニールシートを被せて覆う等消毒が可能な状況とすること等。

 

【著者情報】
北村 剛史
・㈱サクラクオリティマネジメント 代表取締役
・㈱日本ホテルアプレイザル 代表取締役
・一般社団法人観光品質認証協会 統括理事
・不動産鑑定士、MAI(米国不動産鑑定士)、FRICS(英国不動産鑑定士)、
・CRE(米国不動産カウンセラー)

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