京都市宿泊客は過去最高。宿泊客の4割が訪日外国人
2016年1年間に京都市を訪れた宿泊客数、観光客が支払った消費額が、ともに過去最高を記録したことが、市のまとめで分かった。中国、台湾などアジア圏からの外国人観光客が増えたためで、市営地下鉄の2016年度乗客数(速報値)が経営健全化計画で定めた目標を2年前倒しで達成するという、波及効果ももたらしている。
市観光MICE推進室によると、2016年の宿泊客は1,415万人。前年の1,362万人から3.9%増え、過去最高を記録した。このうち、外国人宿泊客は318万人で、前年の316万人を0.6%上回って過去最高。ともに無許可民泊施設の宿泊客を含んでいないため、実数はさらに多いとみられている。
観光消費額は初めて1兆円の大台を突破し、過去最高の1兆862億円に達した。前年の9,704億円に比べて11.9%増え、市が2020年の目標値として設定していた1兆円を4年前倒しで達成している。1人当たりの消費単価も過去最高で、宿泊、買い物、飲食の伸びが影響して1万9,669円を記録した。宿泊客だけでなく、日帰り客の消費額も前年を上回っている。
京都市観光協会によると、2017年上期(1~6月)に同市内の主要ホテルで宿泊客に占める訪日外国人客の割合が40.4%となった。上期として初の4割台。訪日客のうち最も多かった国・地域は中国、台湾、米国が続いた。全体の客室稼働率は87.7%となり、上期として過去最高を更新した。
旅館業法に基づく市内の宿泊施設定員数は2016年度末で前年度末より16.7%増えたものの、2016年の宿泊施設稼働率は89.1%に達した。前年の89.3%より0.2ポイント下がったが、予約を取りにくい状況に変わりない。外国人観光客を対象としたアンケートでは、15.9%が「京都に泊まりたいのに、泊まれない」と答えている。
一方、観光客の伸びは違法な無許可民泊施設を増やす一因になっている。市が推計する無許可民泊施設の宿泊客は2016年で110万人程度。市は利用者の大半が外国人とみている。無許可民泊施設の周辺では、夜間の騒音やごみをめぐるトラブルが続出している。市は無許可民泊施設の取り締まりに力を入れ、京都府警も悪質なケースを摘発してきたが、なかなか一掃できないのが実情だ。
【参照記事】
・宿泊客の4割が訪日外国人 京都市内の主要ホテル、1~6月期
・「泊まりたくても泊まれない」状況 京都市宿泊客は過去最高−−2016年
(HOTELIER 編集部)