日本旅館協会、民泊新法での不正民泊防止観点徹底を要望。自民党議員に陳情

2016年11月10日、日本旅館協会(針谷了会長=滋賀県おごと温泉・湯元舘)は民泊新法に不正民泊防止の観点を徹底するよう、衆参の自民党国会議員約200人に対して要望書を手渡しながら陳情した。同協会の理事50人が全国から参加し、地元国会議員を中心に要請したという。

年間営業日不正の防止策やマッチングサイトへの罰則も要望

同協会は、家主不在の民泊営業について「宿泊施設を経営するなら、旅館営業許可を取得するのは当然」との立場を堅持した上で、新法について「不正がおこらない制度にしなければ、国民の安全・安心を確保できない」として、不正のできない仕組みづくりを求めている。

具体的な陳情内容は以下の通り。
・6月の閣議決定で年間180日以内の範囲と決まった年間営業日数について、「宿泊の有無に限らず、当初の届け出・登録による予約可能日を営業日とする」こと。(当事者以外が実泊日をカウントすることが不可能であることに加え、「実施には泊まっているのに、キャンセル扱いにして営業日を増やす不正が起こる」という懸念が理由)
・複数の名義を使用しての年間営業を可能にしないよう、同一住所での複数の届け出・登録を認めないこと
・ホストの届け出に住民票添付を義務付けること
・マッチングサイトに民泊マークと営業日などを目立つように表示させること
・無届け、無登録の施設、管理者、マッチングサイトへの罰則、罰金を強化すること

旅館と民泊の平等な競争環境を。新法の正当性によっては旅館業法廃止も

陳情に当たって「民泊に関する旅館業界の主張」として、民泊と旅館の競争環境を同じにすべきであり、旅館業に課せられている多くの規則(旅館業法、建築基準法、消防法、バリアフリー法など)はマンション並みに緩和すべき、などの考えもまとめ、「民泊新法が不公平なものなら旅館業法を廃止すべき」と訴えている。

針谷会長は陳情後に開かれた日本旅館協会政経懇話会パーティーで、招かれた自民党国会議員を前に「新法が不公平なものにならないよう、しっかり取り組んでいきたい」と話したという。

不正民泊摘発が増加する中、急がれる新法の整備と旅館業法への対応

今年に入り民泊の市場が拡大を続ける中、不正民泊の摘発も増加している。最近でも京都で一斉に不正民泊が摘発され、京都府が調査したところ旅館業法を取得し、営業を行っていたのはたった20%だった。

2017年にも施行されるとみられている民泊新法だが、その中身次第では、旅館業法のルールの中で営業しているホテルや旅館業は、大きなハンデを背負って今後宿泊業界内で民泊と勝負しなければならなくなってしまう。
民泊新法の制定と同時進行で、旅館業法の在り方について議論し、宿泊者の安全を確保してうえでの、公正な競争が行われるような新法の施行と法改正が求められている。
2020年に向けて、全国的にホテルの開業ラッシュが計画されている。ここにも大きく影響を与えるだけに、早急な法整備が必要である。

【参照】
不法民泊の防止 日本旅館協会、公平な競争環境求め自民党に要望書

(HOTELS.Biz 編集部)


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